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外観
白色~ほとんど白色粉末~結晶
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性質
ビオチンの融点は、232〜233℃です。酸、アルカリ、光に対しては安定ですが、熱には不安定です。
ビオチンは水溶性で、水やアルコールには溶けやすいですが、有機溶剤には溶けません。食品加工によって、一部損失します。
なお、ビオチンは白色の針状結晶で、化学式はC10H16N2O3S、分子量は244.31です。また、コエンザイムA (CoA) の構成成分でもあります。
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定義
本品は、次の化学式で表される複素環式化合物である。
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解説
(3aS,4S,6S)-hexahydro-2-oxo-1H-thieno[3,4-d]imidazole-4-pentanoic acid.C10H16N2O3S(244.31).ビタミンHともいう.ビタミンB複合体の一つ.1927年,M.A. Boasによりネズミの抗卵白障害因子として発見され,V. du Vigneaud(デュビニョー)(1942年)らが構造決定し,S.A. Harrisらが合成によりそれを確かめた.食品中に広く存在しているが,肝臓,酵母などでも含量は0.0001% 以下で少なく,現在は合成品が用いられている.無色の針状結晶.融点230~232 ℃.[α]22D+92°(0.1 mol L-1 水酸化ナトリウム).熱湯や希アルカリに可溶,水や希酸に難溶.水溶液は熱に安定である.メチルエステルにすると有機溶媒に溶け,精製しやすい.もっとも明瞭なビオチンの生化学的役割はカルボキシル化(CO2付加)反応であり,トランスアミナーゼ系,脱水素酵素系に共役する代謝回路で補酵素として作用する.ビオチン補酵素は強固に酵素(アポ酵素)に結合している.ビオチンのカルボキシル基は酵素中のリシン残基の末端窒素との間にアミド結合をつくっているとみられている.これは,天然物中にリシン-ビオチン結合物(ε-N-biotinyl lysine)であるビオシチンが発見されたことから推定された.ビオチンは細菌類の重要な成長因子である.動物のビオチン欠乏症は大量の生卵白(ビオチンを結合するアビジンが含まれている)を与えたときに観察され,特徴としては,ネズミでは皮膚炎,成長停止,異常姿勢,けいれん歩行,眼周辺の脱毛などである.
炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝をにない、皮膚や髪の健康にも重要な役割をもっています。不足すると、湿疹や抜け毛、白髪の増加のほか、疲労感や憂うつ感などの症状をまねきます。レバー(とくに鶏)、イワシ、ピーナッツ、たまご、クルミ、きなこなどに多く含まれています。成人1日あたりの目安量は男女とも50μg、上限はとくにありません。
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解説
ビタミンB複合体の一つで、ビタミンHともいう。ビオチンはピルビン酸カルボキシラーゼなどに共有結合している補欠分子族(補欠分子団)で、活性型CO2の自在に動く運び手(担体)である。ほとんどの生体に存在し、必要とされるビタミンB2複合体のビオチンのD-異性体構成成分で、アビジン(塩基性糖タンパク質)によって不活性化される。生体カルボキシル化反応に関与し、アビジンに対し高親和性をもつ低分子である。アビジンは酵素的または組織化学的方法により可視化できるように前もって標識された抗体と容易に結合する。
ビオチンは、酵母とヒトの発育因子として1936年、ドイツ生まれのオランダの生化学者ケーグルFritz Kögl(1897―1959)と、当時彼のもとで研修していたユトレヒト大学院生のテーニスBenno Tönnisによって単離、命名され、1942年にデュ・ビニョーによって構造が決定された。
ビオチンは、補酵素として二つの型の酵素反応を助ける。すなわち、
(1)ATP(アデノシン三リン酸)依存性のカルボキシル反応、たとえばアセチル補酵素Aカルボキシラーゼ反応(2)カルボキシ基(カルボキシル基)転移反応、たとえばメチルマロニル‐オキサロ酢酸トランスカルボキシラーゼ反応に関与する。また、ビオチン欠乏動物の組織は二酸化炭素をオキサロ酢酸へ取り込む能力が低下し、脂肪酸合成能も低下している。ビオチン欠乏症は、たいていの動物ではこの栄養素を食物中から抜いても発症しない。おそらく腸内細菌がビオチンを合成するためであると考えられる。なお、ビオチンは食品に広く分布しており、また腸内細菌によって供給されるので、成人での欠乏症はほとんどない。腸内細菌叢(そう)の定着が不十分な乳児期にまれにみられ、脂漏性皮膚炎を呈する。母乳中にビオチン含量が低いことと消化機能が未熟であることも原因である。ビオチン欠乏の症状として、乾燥卵白を大量投与したラットの実験によれば、まず鱗屑(りんせつ)状の皮膚炎が現れ、萎縮(いしゅく)性舌炎、食欲不振、筋痛、異常感覚などを訴え、貧血、心電図異常、血中コレステロールおよびビリルビンの増加などが観察された。また皮膚疾患(掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症性骨関節炎)の一部にビオチン投与が効果のあることが報告されている。[木村修一]
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用途
ビタミン B7 です。炭酸固定
反応、カルボキシル基転移反応の補酵素とし
て作用します。
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用途
ビタミンB7です。炭酸固定反応、
カルボキシル基転移反応の補酵素として作用
します。
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生物学的性質
欠乏症:卵白投与時に皮膚障害(ヒト以外の動物)機能:リシンの ε-アミノ基と結合し,各種カルボキシル化酵素,カルボキシル基転移酵素の配合団となる
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応用
生卵白中のアビジンは、ビオチンと非常に強く結合します。そのためビオチンを標的分子に結合することで目印となり、アビジンで検出することが可能です。この方法は血液検査で用いられています。ビオチンを大量摂取している場合には、異常がないのに誤診される場合もあります。
血清ビオチン濃度は、ビオチンの栄養状態を計測するための指標です。軽度のビオチン欠乏の際には、感度が鈍く、別の指標が考えられています。
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化粧品の成分用途
ヘアコンディショニング剤、皮膚コンディショニング剤
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効能
抗炎症薬, ビオチン補充薬
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商品名
ビオチン (扶桑薬品工業); ビオチン (扶桑薬品工業); ビオチン (東洋製薬化成)
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分布
肝臓,腎臓,卵黄,牛乳,酵母に多い
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化学的特性
White powder
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使用
Growth factor present in minute amounts in every living cell. Plays an indispensable role in numerous naturally occurring carboxylation reactions. Occurs mainly bound to proteins or polypeptides. The
richest sources are liver, kidney, pancreas, yeast, and milk. The biotin content of cancerous tumors is higher than that of normal tissue.
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定義
ChEBI: An organic heterobicyclic compound that consists of 2-oxohexahydro-1H-thieno[3,4-d]imidazole having a valeric acid substituent attached to the tetrahydrothiophene ring. The parent of the class of biotins.
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一般的な説明
Pharmaceutical secondary standards for application in quality control, provide pharma laboratories and manufacturers with a convenient and cost-effective alternative to the preparation of in-house working standards.
Biotin is a water-soluble vitamin, essential for amino acids and carbohydrates metabolism. It is involved in de novo synthesis of purine nucleotides and plays a role in gene expression and DNA replication.
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摂取量
ビオチンは、哺乳類には生合成できません。腸内細菌による合成のみでは必要量に満たないと言われているため、食品からの摂取が必要です。ただしビオチンは多種多様な食品に含まれており、通常の食生活では欠乏症は起こりません。しかし抗生物質を長期服用する場合には、理論的に食事によるビオチン必要量が増加します。
さらにビオチンは水溶性ビタミンなので、過剰に摂取した際にも、尿として排出されやすいです。過剰摂取が原因の健康被害が報告されておらず、耐容上限量も設定されていません。
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生合成
すべての生物種にとって、ビオチンは必須の栄養素ですが、生合成できるのは一部の微生物、カビ、植物だけです。
食物中のビオチンは、ビオシチンやビオチニルペプチドのようなタンパク質と結合した状態で、ビオチニダーゼにより遊離型となって利用されています。サプリメントに含まれているビオチンは遊離型なので、吸収されやすいです。
遊離型になったビオチンは、小腸で吸収されます。そしてホロカルボキシラーゼや合成酵素によって、カルボキシラーゼの補酵素になります。
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補酵素
カルボキシル基転移酵素 (英: carboxylase) の補酵素として、ビオチンは働いています。ビオチンを補酵素として有する酵素の一群は、ビオチン酵素 (英: biotin enzyme)と呼ばれています。
ビオチン酵素の具体例は、ピルビン酸カルボキシラーゼやアセチルCoAカルボキシラーゼなどです。ピルビン酸カルボキシラーゼは糖代謝に関与し、アセチルCoAカルボキシラーゼは脂肪酸合成に関与しています。
それ以外にも、プロピオニルCoAカルボキシラーゼや3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼなども含まれています。プロピオニルCoAカルボキシラーゼはアミノ酸や脂肪酸代謝に関与し、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼはアミノ酸の一種であるの代謝に関与する酵素です。
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使用用途
ビオチンの使用用途として最も多いのは、皮膚症状に関する医薬品です。皮膚の炎症を防止する作用も報告されているため、湿疹や接触性皮膚炎、ニキビをはじめとした皮膚の諸症状に対する薬として処方されることもあります。
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摂取方法
ビオチンは、肉類などに多く含まれていますが、加工方法や保存方法によって残存率が変化するため、できるだけ加工が少ない状態で摂取することが重要です。それでも摂取できない場合は、ビオチンを使用したサプリメントで摂取できます。
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安全性プロファイル
An experimental
teratogen. Experimental reproductive
effects. When heated to decomposition it
emits toxic fumes of NOx and SOx.
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純化方法
D-(+)-Biotin crystallises from hot water in fine long needles with a solubility of 22 mg/100mL at 25o. Its solubility in 95% EtOH is 80 mg/100 mL at 25o. Its isoelectric point is at pH 3.5. Store solid and solutions under sterile conditions because it is susceptible to mould growth. [Confalone J Am Chem Soc 97 5936 1975, Wolf et al. J Am Chem Soc 67 2100 1945, Synthesis: Ohuri & Emoto Tetrahedron Lett 2765 1975, Harris et al. J Am Chem Soc 66 1756 1944.] The (+)-methyl ester has m 166-167o (from MeOH/Et2O), [] D 22 +57o (c 1, CHCl3) [du Vigneaud et al. J Biol Chem 140 643, 763 1941]; the (+)-S-oxide has m 200-203o, [] D 20 +130o (c 1.2, 0.1N NaOH) [Melville J Biol Chem 208 495 1954]; the SS-dioxide has m 274-275o(dec, 268-270o), and the SS-dioxide methyl ester has m 239-241o (from MeOH/Et2O) [Hofmann et al. J Biol Chem 141 207, 213 1941]. [Beilstein 27 III/IV 7979.]