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外観
無色~黄赤色、澄明の液体
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性質
C5H10O(86.14).テトラヒドロピラン,アミレンオキシドともいう.1,5-ジブロムペンタンを水と加熱するか,ジヒドロピランを接触還元すると得られる.刺激臭をもつ無色の液体.融点-42.9 ℃,沸点88 ℃.d20 0.8814.n20D 1.422.双極子モーメント1.87 D.多くの有機溶媒および水に易溶,熱水には冷水よりも難溶.水蒸気蒸留され,8.5% の水と沸点71 ℃ の共沸混合物をつくる.燃えやすく,空気と長く接触すると過酸化物をつくりやすい.開環共重合性があるが,硝酸で酸化すると高収率でグルタル酸を与える.工業用溶剤に用いられる.森北出版「化学辞典(第2版)
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溶解性
水に溶ける。
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解説
テトラヒドロピラン (英: Tetrahydropyran) とは、無色透明液体の環状エーテルです。
IUPAC名はオキサン (英: Oxane) 、別名として、THP、オキサシクロヘキサン (英: Oxacyclohexane) 、1-オキサシクロヘキサン (英: 1-Oxacyclohexane) 、1,5-エポキシペンタン (英: 1,5-epoxypentane) 、ペンタメチレンオキシド (英: Pentamethylene oxide) とも呼ばれます。
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用途
医薬?農薬原料、溶剤。
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合成
ラネーニッケル触媒に代表されるラネー合金を触媒として用い、2,3-ジヒドロピランに水素添加することで合成できます。また、酸性条件下、1,5-ペンタンジオールの脱水を伴う環化反応によっても合成可能です。
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説明
Tetrahydropyran (THP) is the organic compound consisting of a saturated six-membered ring containing five carbon atoms and one oxygen atom. It is named by reference to pyran, which contains two double bonds, and may be produced from it by adding four hydrogens. Tetrahydropyran can be used as a solvent in various classical organic reactions such as radical reactions, palladium-catalyzed coupling, and Grignard reactions.
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化学的特性
colorless to light yellow liquid
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使用
It is is an important raw material and intermediate used in Organic Synthesis, Pharmaceuticals, Agrochemicals and dyestuff. They are also used as important solvents, as chemical intermediate and as monomer for ring-opening polymerization.
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定義
ChEBI: A saturated organic heteromonocyclic parent that is cyclohexane in which one of the carbon atoms has been replaced by an oxygen atom.
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使用用途
1. 保護基
有機合成において、2-テトラヒドロピラニル基は、アルコールの保護基として汎用されます。基質のアルコール部位に対し、酸性条件下、を作用させることでテトラヒドロピラニルエーテルへと変換可能です。
テトラヒドロピランは、酸性条件や塩基性条件、還元条件に強い耐性を持つため、反応溶媒、抽出溶媒、晶析溶媒といった様々な用途で使用できる有機溶媒です。
n-BuLiなどの強塩基性条件下では、同じ環状エーテル構造を持つ、五員環のテトラヒドロフランに比べ、テトラヒドロピランはより強い耐性を有します。そのため、医薬・農薬原料としても使用されます。
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法規情報
テトラヒドロピランは、以下の国内法令に指定されています。
- 消防法
危険物第四類 第一石油類 危険等級Ⅱ
- 労働安全衛生法
危険物・引火性の物 (施行令別表第1第4号)
- 危険物船舶運送及び貯蔵規則
引火性液体類 (危規則第3条危険物告示別表第1)
- 航空法
引火性液体 (施行規則第194条危険物告示別表第1)
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取り扱い及び保管上の注意
取り扱う場合の対策
使用の際は、局所排気装置である内で、個人用保護具を着用してください。テトラヒドロピランは、強酸化剤との接触で激しく反応する恐れがあります。
強酸化剤には近づけないようにしてください。また、空気との長時間の接触により過酸化物を生成します。テトラヒドロピランは-22 °Cに引火点を持つ、引火性の非常に高い液体です。高温物や熱、炎、火花、静電気、スパークには近づけないようにしてください。
火災の場合
熱分解により、刺激性で有毒なガスと蒸気を放出する可能性があります。水スプレー (水噴霧) や二酸化炭素 (CO2) 、泡、粉末消火剤、砂などを用いて消火活動をしてください。
皮膚に付着した場合
使用時は、白衣や作業着などの保護衣と保護手袋を着用し、皮膚が暴露しないようにしてください。
皮膚に付着してしまったら、すぐに石けんと大量の水で洗い流します。汚染された衣類は、すべて脱いで隔離します。皮膚刺激が続く場合は、医師に連絡してください。
眼に入った場合
使用時は、保護メガネまたはゴーグルを必ず着用してください。万が一眼に入った際は、コンタクトを着用している場合は外し、水でしっかり洗浄します。眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けてください。
保管する場合
直射日光を避け、換気が良好かつ涼しい場所で、ガラス製容器に入れ、密閉して保管します。保管庫は、必ず施錠してください。
参考文献
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純化方法
Dry oxane with CaH2, then pass it through a column of silica gel to remove olefinic impurities and fractionally distil it. Free it from peroxides and moisture by refluxing with sodium, then distil it from LiAlH4. Alternatively, peroxides can be removed by treatment with aqueous ferrous sulfate and sodium bisulfate, followed by solid KOH, and fractional distillation from sodium. [Beilstein 17 H 12, 17 I 6, 17 II 18, 17 III/IV 51, 17/1 V 64.]