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外観
黄色の粉末
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種類
クロム酸バリウムは有害な物質であるため、今日では試薬製品など一部の用途に限定して販売されています。劇物に指定されており、各種法令によって規制されている薬品であることから適切な管理が必要な物質です。
試薬製品としては、25g , 500g , 1kgなどの容量の種類があります。冷所、換気の良い場所で、容器を密閉して保管することが必要です。
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溶解性
水に難溶。塩酸および硝酸に可溶。
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解説
〘名〙 (バリウムはbalium) クロム酸のバリウム塩。化学式 BaCrO4 黄色、斜方晶系の結晶性粉末。塩酸・硝酸に溶け、水にはほとんど溶けない。黄鉛、安全マッチ、陶磁器用着色剤などの原料に用いられる。
精選版 日本国語大辞典 精選版
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用途
水中の硫酸イオンの比色定量用。
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用途
吸光光度による硫酸イオンの定量。
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化学的特性
Barium chromate is a heavy, yellow powder(s); rhomb, monoclinic; prepared from BaCl2 and Na2CrO4 solutions, followed by filtering resulting precipitate; used in safety matches, as a corrosion inhibitor.[MER06] [HAW93]
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物理的性質
Yellow orthorhombic crystal; density 4.50 g/cm3; darkens on heating; insoluble in water and organic solvents; dissolves in mineral acid with decomposition.
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主な応用
Barium chromate is an oxidizing chemical compound composed of the elements barium and chromium. It is a pigment almost entirely in anticorrosion jointing pastes to prevent electro-chemical corrosion at junctions of dissimilar metals; some use in artists' colors and in coloring glass, ceramics, porcelain. Also used in metal primers, pyrotechnic compositions.
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使用
Barium chromate has been found to be useful in many capacities. It is an oxidizing agent, making it useful as a burn rate modifier in pyrotechnic compositions. It is especially useful in delay compositions such as delay fuses. Barium chromate is used as a pigment, oxidizing agent, colorant in glass, and sulfate scavenger in chromium electroplating baths, ceramics, and porcelain. It acts as a corrosion inhibitor in jointing pastes and metal primers. Further, it is used in fuses, safety matches, ignition control devices and high-temperature batteries. In addition to this, it is used as a carrier for the chromium ions and useful as a burn rate modifier in pyrotechnic compositions. It is involved as a catalyst in the alkane dehydration reaction.
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製造方法
Interaction of barium chloride and sodium chromate. The precipitate is washed, filtered and dried.
BaCl2+Na2CrO4→BaCrO4↓+2NaCl
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安全性
クロム酸バリウムは、極めて有害な六価クロム化合物の一種です。
具体的な人体への危険として、以下のような症状が挙げられます。
- 吸入によるアレルギー、喘息又は呼吸困難の発症の危険性
- アレルギー性皮膚反応を発症する危険性
- 発がん性
- 鼻中隔穿孔および腎臓障害を引き起こす危険性
換気の良い場所で取り扱い、換気が十分でない場合には、適切な呼吸用保護具の着用が必要とされています。
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危険性
Confirmed carcinogen.
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法規制情報
クロム酸バリウムは前述の通り、有害な化合物であることから各種法令によって取り扱いが厳しく制限されています。
労働安全衛生法では、特定化学物質第2類物質、管理第2類物質、特定化学物質特別管理物質などに指定されており、毒物及び劇物取締法では劇物に指定される化合物です。労働基準法でも、 疾病化学物質、及び、がん原性化学物質に指定されています。
管理・廃棄においても規制対象となっており、PRTR法では、 第1種指定化学物質、特定第1種指定化学物質に指定される他、大気汚染防止法や水質汚濁防止法でも指定を受ける化合物です。法令を遵守した正しい管理が求められます。
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化学反应
図. クロム酸バリウムの反応 (クロム酸バリウム(IV)の生成)
また、アジ化ナトリウム存在下でと反応して5価のクロム酸バリウムが生じます。存在条件において約800℃に加熱することでも同様に5価のクロム酸バリウムを得ることが可能です。酸化力があることから、還元剤と反応して酸化剤として働く物質です。室温における密封保存では安定な物質と考えられています。
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使用用途
クロム酸バリウムの主な用途の一つに、黄色顔料が挙げられます。一般的に、陶磁器やペンキに使用される場合が多いです。クロム酸バリウム由来の顔料は、バリウムイエロー (Barium Yellow) 、バライタイエロー (Baryta Yellow) 、バライトイエロー (Baryte Yellow) 、レモンイエロー、パーマネントイエロー、ピグメントイエロー31、レモンクロムなどの名称で呼ばれています。ルノワールやモネなど、印象派の絵画にも使用されました。
その他には、花火で反応速度を調整するための物質として使用されたり、異なる種類の金属の接合部における腐食防止剤として使用されたりします。金属の下塗りや、マッチ、点火装置及び、爆薬の反応開始剤などの用途もあります。
化学用途では、吸光光度による硫酸イオンの定量に用いられたり、 (固体) の不純物や水分を取り除くのに用いられることもあります。酸化力がある物質のため、酸化剤として利用することも可能です。
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安全性プロファイル
Confirmed human
carcinogen. A poison. Mutation data
reported. Reacts vigorously with reducing
materials. See also BARIUM
COMPOUNDS (soluble) and
CHROMIUM COMPOUNDS. Used in
pyrotechnics and as an explosive initiator.
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合成方法
図. クロム酸バリウムの合成と酸性溶液
クロム酸バリウムは、バリウム水溶液とを反応させることで沈殿として得られます。緑色の炎色反応を示す性質があります。水に不溶ながら酸類に対しては溶解し、二クロム酸イオンを生じる物質です。