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外観
白色, 結晶~結晶性粉末
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種類
硫酸ヒドラジンは、主に研究開発用試薬製品や工業用化学薬品として販売されている物質です。
1. 研究開発用試薬製品
研究開発用試薬製品としては。実験室で取り扱いやすい容量が中心ですが、小容量から比較的大きめの容量まで様々な種類での提供があります。通常、室温にて取り扱い可能な物質として扱われる試薬製品です。
2.工業用化学薬品
工業用化学薬品としては、金属表面処理剤、還元剤 (金属回収) 、有機合成用原料などの用途を想定して販売されています。工場などで使用しやすい大容量の紙袋などの荷姿で販売されることが多いです。
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性質
硫酸ヒドラジンは、分子量130.12、融点254℃であり、室温での外観は無色の結晶または白い粉末です。密度は1.37g/mLであり、水溶性があります。水への溶解度は30g/L (20°C) です。
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溶解性
熱水に溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノールに溶けにくい。
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解説
【Ⅰ】硫酸ヒドラジニウム(2+),または硫酸ヒドラジンジイウム:[N2H6SO4](130.12).IUPAC体系名は硫酸ジアザンジイウム(diazanediium sulfate).通称,硫酸ヒドラジン(hydrazine sulfate).NH3または尿素に,NaClOまたはさらし粉とNa2CO3の混合物をまぜ,さらにコロイド剤などをまぜて反応させてヒドラジンを合成し(ラーシッヒ法),ついでH2SO4を加えると結晶が得られる.斜方晶系の板状または柱状結晶.[H3N-NH3]2+(トランス形構造)を含むイオン結晶.密度約1.37 g cm-3.N-N1.42 Å.固体は加熱すると,溶融とともに254 ℃ で分解する.水に可溶(熱水には易溶).潮解性がある.還元剤,抗酸化剤,農薬など(かびの除去など),分析試薬(Ni,Coなどの重量分析,鉱物などの還元剤,血液検査用など),希金属の精錬,Po-Teの分離,重合触媒,プラスチック発泡剤などに用いられる.
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用途
医薬中間原料、触媒
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用途
プラスチック発泡剤製造用、農薬
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合成
図3. ヒドラジンを原料とする硫酸ヒドラジンの合成
硫酸ヒドラジンは、ヒドラジン水溶液にを作用させることで合成することができます。
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化学的特性
colourless crystals or white powder
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物理的性質
Colorless orthorhombic crystal; density 1.378 g/cm3; melts at 254°C; sparingly soluble in cold water 1.64% at 0°C and 3.41% at 25°C; more soluble inhot water; practically insoluble in alcohol (0.04% at 25°C).
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使用
Hydrazine sulfate is used in the gravimetric estimation of nickel, cobalt and cadmium; in the refining of rare metals; as an antioxidant in soldering flux for
light metals; as a reducing agent in the analysis of minerals and slags; in separating polonium from tellurium; in tests for blood; for
destroying fungi and molds; in the preparation of hydrazine hydrate; press ure stabilizer in cutting oils.
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製造方法
Hydrazine sulfate may be synthesized from aqueous ammonia and sodium hypochlorite solution in a two-step process. In the first stage, aqueous solution of ammonia is boiled with a normal solution of sodium hypochlorite in the presence of 10% gelatin solution to yield hydrazine. In the second stage, the hydrazine solution is ice-cooled followed by slow addition of concentrated sulfuric acid (Adams, R., and B.K. Brown. 1964. In Organic Synthesis, Collective Volume I, ed. H. Gilman and A. H. Blatt, 2nd ed. pp 309-310, New York: John Wiley & Sons). The reaction steps are as follows:
2NH3 + NaOCl → NH2NH2 + H2O + NaCl
NH2NH2 + H2SO4 → NH2NH2 •H2SO4
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一般的な説明
Hydrazine sulfate salt is a potential anticachexia agent for treating cancer patients.
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危険性
A carcinogen (OSHA).
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使用用途
硫酸ヒドラジンは、分析化学や有機化合物の合成、及びプラスチック発泡剤製造用、農薬などの用途があります。分析化学や有機合成などにおいては、特にの安全な供給源として用いられることが多い物質です。
ヒドラジンは強力な還元剤であり、反応性の高い物質ですが、分解しやすく揮発性が高い性質があります。硫酸ヒドラジンは、ヒドラジンよりも安定性が高く、保存時にも空気酸化の影響を受けにくいためより安定に取り扱うことができます。
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有害性
硫酸ヒドラジンは、人体への有害性が指摘されている物質です。GHS分類では下記のように分類されています。
- 急性毒性 (経口) : 区分4
- 皮膚感作性: 区分1
- 生殖細胞変異原性: 区分2
- 発がん性: 区分2
- 特定標的臓器・全身毒性 (単回ばく露) : 区分1 (神経系、肝臓)/区分3 (気道刺激性)
- 特定標的臓器・全身毒性 (反復ばく露) : 区分1 (肝臓、副腎) 、区分2 (腎臓、血液系、中枢神経系)
また、環境に対する有害性では、水生環境急性有害性及び、水生環境慢性有害性で区分1に指定されています。
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法規制情報
硫酸ヒドラジンは前述の有害性により法規制を受ける物質です。労働安全衛生法では健康障害防止指針公表物質に指定されており、消防法では、第5類自己反応性物質、ヒドラジンの誘導体に指定されています。法令を遵守して正しく取り扱うことが必要です。
参考文献
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発がん性
Hydrazine and hydrazine sulfate are reasonably anticipated to be human carcinogens based on sufficient evidence of carcinogenicity from studies in experimental animals.
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純化方法
Its solubility in H2O is 3% at room temperature, but is very soluble in hot H2O. It is a suspected carcinogen. [Adams & Brown Org Synth Coll Vol I 309 1941, Audrieth & Nickles Inorg Synth I 90 1939.]