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外観
無色~黄褐色, 澄明の液体
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性質
インデンは、分子式がC9H8で表される二環性の炭化水素です。とシクロペンタジエン環が縮合した構造を有します。モル質量は116.16で、20℃での密度は0.9968です。外観は無色で油状の液体です。水にほとんど溶けず、やなどの有機溶媒には溶けやすいです。可燃性で特異臭を持っています。融点は-1.8℃、沸点は181.6℃です。
目に強い刺激性があり、皮膚にも軽度の刺激性を有します。吸入によって、腎臓、肝臓、脾臓へ障害が起こる可能性があります。
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反応
1. インデンの反応
二クロム酸を使ってインデンを酸化すると、ホモフタル酸 (英: homophthalic acid) を生成可能です。ホモフタル酸はo-カルボキシルフェニル酢酸 (英: o-carboxyphenylacetic acid) とも呼ばれます。
また、を使って、インデンとシュウ酸エチルを縮合すると、インデン-シュウ酸エステルを得ることが可能です。
さらに、インデンは塩基を用いてケトンやアルデヒドとの縮合によって、強い発色を示すベンゾフルベン (英: benzofulvene) が生成します。
2. 配位子としてのインデン
図1. インデニル効果
インデンのプロトンの引き抜きによって、インデニルアニオンが生じます。有機金属化学でインデニルアニオンは、配位子として使うことが可能です。
インデニルアニオンはη5-配位子として以外にも、η3-配位子としての性質が強いです。したがって、シクロペンタジエンのプロトンの引き抜きで生じるシクロペンタジエニルアニオンとは違った反応性を示すこともあります。インデニル配位子の効果は、インデニル効果 (英: indenyl effect) と呼ばれています。
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溶解性
エタノール及びアセトンに極めて溶けやすく、水にほとんど溶けない。
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解説
インデン,融点-2 ℃,沸点182 ℃.d20"0.9966.nD20"1.5763.多くの有機溶媒に可溶.きわめて不安定で,酸素を吸収して,過酸化物を与える.常温·暗所でもすみやかに重合する.クマロン-インデン樹脂をつくるのに用いられる.
森北出版「化学辞典(第2版)
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用途
有機合成原料。
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用途
樹脂原料古くからクマロンーインデン樹脂としてSBRゴム製品の強化用にブレンドされている。
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製造
インデン,タールの中性油からピクラートとして分離される.また,テトラヒドロナフタレンの蒸気を高温でシリカ-アルミナ触媒上を通して合成することもできる.
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使用上の注意
不活性ガス封入
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化学的特性
Yellow green clear liquid
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使用
Preparation of coumarone-indene resins, intermediate.
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定義
indene: A colourless flammable hydrocarbon,C9H8; r.d. 0.996; m.p.–1.8°C; b.p. 182.6°C. Indene is anaromatic hydrocarbon with a five-memberedring fused to a benzenering. It is present in coal tar and isused as a solvent and raw materialfor making other organic compounds.
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一般的な説明
A colorless liquid derived from coal tar. Fp: -2°C; bp:182°C. Density 0.997 g cm-3. Insoluble in water but soluble in organic solvents.
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反応プロフィール
Indene is combustible (flash point between 140°F and 200°F). Polymerizes and oxidizes on standing in the air. This reaction is accelerated by heating, acids, and catalysts, including peroxides. Has exploded during nitration with a mixture of H2SO4 and HNO3.
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危険性
Toxic by inhalation.
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健康ハザード
Indene is expected to be an irritant
of the mucous membranes.
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精製
インデンはコールタールの留分から得られます。留分を金属ナトリウムと加熱すると、沈殿を生成させます。弱い酸性であり、金属ナトリウムによって塩を生じます。そして、水蒸気蒸留 (英: steam distillation) によって、インデンを取り出すことが可能です。
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使用用途
インデンは、光機能材料、機能性樹脂、医薬中間体などの有機合成原料に使われています。主に、塗料、ゴムの配合材、粘着剤、印刷用インク、などです。
クマロンやなどを重合する際に、樹脂改質剤として有用です。とくにクマロン-インデン樹脂 (英: coumarone-indene resin) は、石油樹脂とは異なる特性を持っています。接着性、機械物性、電気特性を持ち、ゴムの物性改善、塗料の密着性や防食性の向上、エポキシ樹脂の吸水性や誘電率の低減など、各種樹脂性能の改善に優れています。
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純化方法
Shake indene with 6M HCl for 24hours (to remove basic nitrogenous material), then reflux it with 40% NaOH for 2hours (to remove benzonitrile). Fractionally distil, then fractionally crystallise it by partial freezing. The higher-melting portion is converted to its sodium salt by adding a quarter of its weight of sodamide under nitrogen and stirring for 3hours at 120o. Unreacted organic material is distilled off at 120o/1mm. The sodium salts are hydrolysed with water, and the organic fraction is separated by steam disillation, followed by fractional distillation. Before use, the distillate is passed, under nitrogen, through a column of activated silica gel. It turns yellow in air as it readily oxidizes and polymerises. [Russell J Am Chem Soc 78 1041 1956, Beilstein 5 IV 1532.]