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ヒドラジン

ヒドラジンはジアミド(diamide)とも呼ばされる。その分子式がN2H4であり,分子量が32.05であり,略式構造式がH2N—NH2である。無色の油状の液体であり,アンモニアのような刺激臭があり,毒性が非常に強い!主に皮膚、気道,及び消化管を通して吸収され,皮膚と粘膜に対して強い腐食作用を有する。その融点が2℃であり、沸点が113.5℃であり、密度が(15/4℃) 1.011g/cm3である。空気中で水と二酸化炭素を吸収でき,かつ発煙する。水、メタノール、エタノール等と互いに融合することができる。水とともに定沸点混合物を形成し,その沸点が120.3℃であり,この時ヒドラジンの含有量が68.5%(重量)である。エーテル、クロロホルムとベンゼンに溶けない。蒸留時に僅かな空気や金属イオンを含有し又は紫外線で照射されれば,爆発を引き起こすことができる。燃焼時に紫色の炎が発する。その還元性が強い。ガラス、ゴム、皮革、コルク等を腐食することができる。アルカリ性を呈し,無機酸と反応して塩を生成できる。高圧ボイラーに給水する脱酸素剤として用いられ,従来から用いられる亜硫酸ナトリウムを置換し,医薬品の調製に用いられ,例えばアミノ尿素,イソニアジド,イソニコチニルヒドラジド,抗結核薬,農薬(マレイン酸ヒドラジド,発芽抑制剤),ニトロフラゾン等の合成。現像剤、抗酸化剤、還元剤等として用いられると同時に,発泡剤の調製にも用いられる;またジェットエンジンの燃料、ロケットの燃料として用いられる。プラスチック、ゴム、写真機材、医薬品、農薬、織物、溶接等の工業分野で化学原料として用いられ,それにボイラー水中の酸素を除去しかつボイラーの腐食を防止するために用いられる。ヒドラジンは水溶液中で水酸化ナトリウム、塩素とアンモニア(又は尿素)が互いに反応して調製され,またヒドラジン水和物と水酸化ナトリウム等の脱水剤を蒸留して調製され,又はヒドラジン塩に対してアンモニア分解反応を行って調製される。無水ヒドラジンを調製するために,ヒドラジン水和物の濃縮液に脱水剤を添加し,そのうち水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、石灰等が脱水剤として用いることができ,また不活性ガス又は真空中で蒸留を行わなければならない。 毒性:マウス用経口投与量がLD5059mg/kg(体重)であり,ラット用経口投与量が60mg/kg(体重)である。モルモット用経皮投与量がLD50190mg/kg(体重)であり,ウサギの投与量が91mg/kg(体重)である。マウスがヒドラジンを吸入した4時間後に半数致死濃度が252ppmであり,ラットの場合に570ppmである。ヒドラジンは目、鼻、気道への刺激性が高く,かつ中枢神経系を損傷する。急性中毒者はまず局所刺激症状、吐き気、嘔吐を引き起こし,そして眠気、運動失調,さらに痙攣及び昏睡の症状が発生する。一部の患者の肝機能を損なう可能性がある。マウスがヒドラジンを経口投与する場合に肺腫瘍を引き起こし,ラットの場合に肝腫瘍を引き起こすことができる。国際がん研究機関(IARC)はヒドラジンを人に対する発がん性の疑いがある化学物質として扱われる(証拠がまだ不十分である)。アメリカ(ACGIH)はヒドラジンが作業場内の空気中のしきい値の制限値が0.1mg/m3であると規定される。ソビエト連はヒドラジンが作業場内の空気中のヒドラジンの最大許容濃度が0.1mg/m3であると規定される。 ヒドラジン及びそのメチル誘導体は発煙硝酸又は四酸化二窒素と混合して貯蔵可能な推進剤とすることができ,ロケットの運送過程で用いられる。ヒドラジン系とアミン系は混合アミン燃料(MAF)を生成でき,また複数の異なるヒドラジン系化合物は混合して混合ヒドラジン燃料(MHF)を生成でき,これらはいずれも推進剤として用いることができる。ヒドラジン及びその誘導体は工業生産中で広く使用され,例えば有機合成分野で中間体として用いられ,また製薬と合成染料にも用いられる。ヒドラジンが水と結合してヒドラジン水和物と呼ばされ,工業において一般的に40%のヒドラジン水和物を使用し,それは無水ヒドラジンより安全である。その他ヒドラジンもボイラー水とある汚水処理剤として用いることもできる。 ヒドラジン及びそのメチル誘導体は吸湿性が極めて強く,空気中の二酸化炭素を吸収しやすくかつ塩を生成し,沈殿し,酸素と接触すると酸化を緩和することができる。液体状のヒドラジンは酸化剤又は金属酸化物と接触する場合にそれと激しく反応し,自然発火できかつ爆発を引き起こす可能性もある。例えばヒドラジンとニトロメタンによって混合して形成された爆発剤の危険性は,トリニトロトルエンより大きい。そのアンモニア臭は迅速に発見されるが,その濃度が低い場合に発見されにくい。窒素を充填した容器中で長期貯蔵することができる。 ヒドラジン、非対称ジメチルヒドラジンとフェニルヒドラジンは中等度の毒性物質に属し,メチルヒドラジンは高度の毒性物質である。静脈内と腹腔内注射及び経口投与の場合に毒性の差は大きくない。  高濃度と中等濃度のヒドラジン、メチルヒドラジンと非対称ジメチルヒドラジンは目、鼻、気道への刺激性が非常に強く,爆発下限界(2%)の近くに達する時,人間は耐えなくなる。皮膚を直接に接触する時に皮膚炎を引き起こすことができ,アレルギーを引き起こす可能性もある。その液体は目に入る時に目を強く刺激するため,角膜への損傷が永久的であり,さらに失明を引き起こすことができる。