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性質
TiCl2(118.77).二塩化チタンともいう.塩化チタン(Ⅲ)の熱分解により得られる.黒褐色の結晶.密度3.13 g cm-3.水素気流中で加熱すると昇華するが,空気中で加熱すると燃える.水には分解して水素を発生しながら溶ける.エタノールに可溶,エーテル,クロロホルム,二硫化炭素に不溶.
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解説
塩化チタン (英: Titanium chloride) とは、組成の違いにより三種類の化合物が知られるの塩化物です。
酸化数IIの塩化チタン (II) は、化学式TiCl2で表され、分子量は118.77、CAS登録番号は10049-06-6の暗赤褐色の粉末です。水で容易に分解し、空気中で加熱すると発火します。
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製造法
酸化数II,III,IVの化合物が知られている。[塩化チタン(II)] 化学式TiCl2。塩化チタン(IV)TiCl4を水素と混合し,低無電極放電で還元すると得られる暗赤褐色粉末。比重3.13。空気中,水,エチルアルコールなどで分解する。酸化されやすい。[塩化チタン(III)] 無水和物TiCl3と水和物が知られている。TiCl3は,TiCl4を650℃で過剰の水素によって還元すると得られる潮解性の紫色結晶。株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について 情報
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製法
塩化チタン (II) は、TiCl4を水素と混合した状態で、低無電極放電で還元することで得られます。
塩化チタン (III) は、過剰の存在下、TiCl4を650℃まで高温に加熱し、還元することによって得ることができます。塩化チタン (IV) は、チタン鉄鉱もしくはルチル鉱石をコークスとの存在下で、900℃に加熱して得られた粗塩化チタン (IV) を、さらに蒸留精製して得られます。
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化学的特性
Black powder. Decomposed by
water; decomposes at 475C in vacuo; hygroscopic.
Soluble in alcohol; insoluble in chloroform, ether,
carbon disulfide.
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危険性
Flammable, dangerous fire risk, ignites in
air, store under water or inert gas.
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法規情報
塩化チタン (II) は、主要な法規制の中で消防法において「第2類:可燃性固体, 金属粉末, 危険等級II, 第一種可燃性固体」に該当します。
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取り扱い及び保管上の注意
取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。
- 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
- 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
- 水や湿気と接すると反応するため、湿気を避ける。
- 塩化チタン (II) は自然発火性があるため、取り扱いには十分注意する。
- 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
- 取扱い後はよく手を洗浄する。
- 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
- 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。
参考文献
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使用用途
塩化チタン (II) は、アルデヒドまたはケトンにの存在下で反応させると、ピナコールカップリングが起こり、メソ体の1,2-ジオールが選択的に得られるという、有機合成におけるの炭素-炭素結合生成の手法として使用されています。
塩化チタン (III) は、ルイス酸として、オレフィンの重合に用いる触媒であるチーグラー・ナッタ触媒の原料として利用されています。
塩化チタン (IV) は、顔料や化粧品の原料として利用される (IV) の主原料として利用可能です。また、有機化学ではルイス酸として、塩化チタン (III) と同様にオレフィンの重合に用いる触媒であるチーグラー・ナッタ触媒の原料として利用されています。空気中の水分と反応することで、白煙を生じるという特性があるため、曲技飛行でのスモークや特撮で煙の演出に使用されることもあります。