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外観
白色, 結晶〜結晶性粉末
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性質
マンデル酸は無色の板状結晶で、水に溶解しやすく、アルコールやエーテルにも溶解しする特徴を有しています。マンデル酸は、天然にはアーモンドなどの種子、果実、樹皮などに含まれています。
構造中にカルボキシル基とフェノール性ヒドロキシル基を持つため、酸としての性質ととしての性質を持ちます。また、この化合物はキラル分子であり、ラセミ体として存在します。マンデル酸は、工業的にラセミ体混合物の形で製造される化合物です。
医薬品や農薬、化粧品などの製造において、マンデル酸はキラル製剤やキラル中間体として使用されます。また、やエチルベンゼンの尿中代謝物の一種です。
そのため、これらの化合物や有機溶剤を使用する作業者の曝露指標として、特殊健康診断に組み込まれています。
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定義
本品は、次の化学式で表される有機酸である。
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溶解性
水に可溶 (1g/6.3ml)。エタノール (1g/1ml), エーテル, イソプロパノールに易溶。
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解説
2-hydroxy-2-phenylacetic acid.C8H8O3(152.14).ベンズアルデヒドにシアン化水素を付加して得られるマンデロニトリルを,加水分解するとDL-マンデル酸が得られる.普通,マンデル酸といえばDL-マンデル酸をさす.結晶.融点118~119 ℃.エタノール,エーテルなどに可溶.Ka 4.17×10-4(25 ℃).遊離酸またはカルシウム塩の形で医薬品(尿路防腐剤)として用いられる.DL-マンデル酸をブルシンを用いてラセミ分割すると(R)-マンデル酸が得られる.融点133 ℃.[α]D-158°(水).また,アミグダリンを加水分解するか,DL-マンデル酸をl-メントールで分割すると(S)-マンデル酸が得られる.融点133.8 ℃.[α]20D+156.5°(水).[CAS 90-64-2][CAS 17199-29-0:(S)-マンデル酸]森北出版「化学辞典(第2版)
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用途
1)医薬品原料 2)ジルコニウムの定量用試薬(重量法)
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製造法
ヒドロキシカルボン酸の一つ。α(アルファ)-ヒドロキシフェニル酢酸、フェニルグリコール酸ともいう。苦扁桃(くへんとう)(ハタンキョウの一種)などに含まれている。
ベンズアルデヒドにシアン化水素を付加させたのち、加水分解すると得られる。無色の板状結晶で、水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルに溶ける。遊離酸またはカルシウム塩の形で尿路防腐剤(医薬)として用いる。マンデル酸は不斉(ふせい)炭素原子をもつので、光学異性体をもつ。普通はラセミ体(DL体)として知られているが、ブルシンを用いて光学分割するとL体、l-メントールを用いて光学分割すればD体が得られる。ブルシン(アルカロイドの一種)やl-メントールは対称性のない(キラルな)分子であり、一対の光学異性体の一方(一つのエナンチオ異性体)だけと強く結合するので、これを利用して光学異性体の一方を分け取ることができる。なお、光学分割とは、両方の光学異性体の混合物であるラセミ体から、それぞれの光学異性体(たとえば、D-マンデル酸とL-マンデル酸)を別々に取り出すことをいう。マンデル酸は尿路感染症の抗菌薬剤やフェイスピール(顔の皮膚表面の古い角質の除去剤)などのスキンケア治療に使用されている。
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構造
マンデル酸は、化学式C8H8O3で表される芳香族αヒドロキシカルボン酸の1つです。α-ヒドロキシフェニル酢酸、フェニルグリコール酸とも呼ばれ、ベンゼン環とヒドロキシル基、そしてアルデヒド基を持ちます。
マンデル酸はα位に不斉炭素原子を持つため、2つの光学異性体を有します。通常は、ラセミ体のパラマンデル酸として知られていますが、ブルシンを用いて光学分割するとL体が、l-メントールを用いて光学分割すればD体が特異的に得ることが可能です。
マンデル酸は、構造中にカルボキシル基とフェノール性ヒドロキシル基を持つため、酸としての性質とフェノールとしての性質を持ちます。また、この化合物はキラル分子であり、ラセミ体として存在します。
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化学的特性
White rhomboidal crystals, decompose when exposed to light. Soluble in ether and isopropanol, soluble in ethanol and water; R-form melting point is 133°C, [α]-159.73° (ethanol), gradually racemic at 160°C. S-form melting point is 133.8°C, [α]+156.57° (water).
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使用
DL-Mandelic acid may be used as an analytical reference standard for the determination of DL-mandelic acid in:
Human urine samples by high performance liquid chromatography (HPLC) equipped with ultraviolet (UV) detector.
Rat urine samples by gas chromatography-mass spectrometry (GC-MS) with selected ion monitoring (SIM) detection.
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定義
ChEBI: Mandelic acid is a 2-hydroxy monocarboxylic acid that is acetic acid in which two of the methyl hydrogens are substituted by phenyl and hydroxyl groups. It has a role as an antibacterial agent and a human xenobiotic metabolite. It is a 2-hydroxy monocarboxylic acid and a member of benzenes. It derives from an acetic acid. It is a conjugate acid of a mandelate. Exists in stereoisomeric forms. The properties are those of the dl-form.
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製造方法
Mandelic acid can be prepared by the hydrolysis of amygdalin with sulfuric acid or of mandelonitrile with hydrochloric acid. The mandelonitrile can be prepared by the action of hydrocyanic acid on benzaldehyde, and by the action of sodium or potassium cyanide on the sodium bisulfite addition product of benzaldehyde. The procedure described differs from earlier methods in that the sodium bisulfite addition compound of benzaldehyde is prepared in the presence of sodium cyanide and the nitrile is formed immediately.
synthesis of mandelic acid
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一般的な説明
DL-Mandelic acid is an aromatic hydrocarbon metabolite of styrene.
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危険性
Toxic by ingestion.
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使用用途
マンデル酸やその誘導体は、尿路感染症の抗菌薬剤として使用されています。また、マンデル酸には、ジルコニウムの定量用試薬等の分析試薬や染料工業のなどとしての用途があります。
その他、アミン類の光学分割剤も使用用途の1つです。医薬品や農薬、化粧品などの製造において、マンデル酸はキラル製剤やキラル中間体として使用されます。
また、α-ヒドロキシ酸の一種であることから、角質ケアなどのスキンケア分野にも用途があります。
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安全性プロファイル
Poison by
intramuscular route. Moderately toxic by
ingestion. Continued absorption can cause
kidney irritation. When heated to
decomposition it emits acrid smoke and
irritating fumes.
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製造方法
マンデル酸は、天然のアーモンドやアプリコットの種に含まれる有機化合物ですが、工業的には、有機合成によって製造されます。
例えば、ベンズアルデヒドとの混交物に対し、亜硫酸水素ナトリウム溶液を添加すると、マンデロニトリルが得られます。このマンデロニトリルを濃塩酸で加水分解することでとマンデル酸が生成します。
このとき、塩化アンモニウムとマンデル酸の混合物を分離するには、有機溶媒を用いた抽出が一般的です。この反応は、金属シアン化物の使用に伴う環境への悪影響や毒性のため、近年では代替法の開発が進められています。
代表的な大体合成法は、シアン化水素の代わりにアセトンシアノヒドリンを使用する方法や、酸触媒下でフェニルグリシンの酸化を行う方法です。