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外観
白色~わずかにうすい黄色, 結晶又は塊, 又は融解時, 無色~うすい黄色, 澄明~微濁の液体
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性質
ノルボルネンは常温常圧では白色の固体であり、酸っぱい刺激臭を持ちます。融点は44-46℃、沸点は96℃なので、少しの加熱で容易に融解、気化します。単純な炭化水素であるため、水へはほとんど溶解しない一方、有機溶媒への溶解性は高いです。
ノルボルネンの骨格は2つの環構造に拘束されるため強く歪んでいます。特に剛直な二重結合部分の歪みは大きく不安定であることから、この部分の反応性は非常に高くなっています。そのため、開環メタセシス反応や付加重合反応を起こしやすいです。
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溶解性
水に難溶, エタノールに可溶, アセトンに易溶。アセトンに溶けやすく、エタノールにやや溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
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解説
bicyclo[2.2.1]hept-2-ene.C7H10(94.16).2-ノルボルネンは,脂環式炭化水素の一つ.シクロペンタジエンにエテンを付加させると得られる.無色の結晶.融点45~46 ℃,沸点96 ℃.昇華性がある.二重結合は反応性に富み,種々の付加反応が可能であり,また,カチオン重合,配位重合で非開環ポリマーを与える.森北出版「化学辞典(第2版)
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用途
光学系ポリマー、医農薬原料。
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用途
有機合成原料。
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合成
ノルボルネンの工業的な製造法は、シクロペンタジエンとエチレンのディールス・アルダー反応です。ディールス・アルダー反応では、共役ジエンにアルケンが付加して6員環構造を生じます。[4+2]環状付加とも呼ばれ、この反応を用いることでノルボルネンなどの環状化合物を製造することができます。
この反応は発熱反応であり、適切に冷却しながら反応させないと暴走反応を起こしかねません。過去にはノルボルネン誘導体の製造プラントで反応進行中にも関わらず、撹拌機を停止したことで冷却が不十分となり、反応が暴走、内容物が噴出し発火する事故が起きており、2名が亡くなっています。そのため、工業的にも慎重に製造する必要がある化合物です。
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化学的特性
white crystalline mass
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使用
Norbornene is used as a monomer and as an intermediate in organic synthesis. It is also used to prepare pharmaceutical intermediates and specialty fragrances. It reacts with ethylene to get cyclic olefin copolymer. Further, it is used in transition metal catalysis to affect migration of electrophilic transition metals. It acts as a monomer in ring-opening metathesis polymerizations with the Grubbs' catalyst. Its polymer, polynorbornene is used in the rubber industry for anti-vibration, anti-impact in personal protective equipment and grip improvement in toy tires, racing tires and transmission system.
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一般的な説明
The vinylic polymerization of bicyclo[2.2.1]hept-2-ene (norbornene) with Co(II) compounds and the metallocene [η5-(C5Me5)Co-η2-Cl]2, in chlorobenzene activated with methylaluminoxane (MAO) has been reported. Co(II) catalyzed polymerization of bicyclo[2.2.1]hept-2-ene in the presence of ethene has been reported.
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誘導体
ノルボルネン構造を持つ誘導体でよく使われるものとして、5-エチリデン-2-ノルボルネンがあります。これはノルボルネンの5位にエチリデンが付加した化合物で、合成ゴム原料として、主にエチレンプロピレンゴムに用いられるほか、都市ガス用の臭い付加材としても有用です。
また、その剛直な骨格を活かしてエポキシ化した誘導体は、エポキシ樹脂原料とすることで、エポキシ樹脂の耐熱性と剛性を向上させることができます。
ただし、これらの誘導体はノルボルネンを得て合成される場合もありますが、そのであるシクロペンタジエンなどを誘導化したうえでディールズ・アルダー反応によって、ノルボルネン骨格を後から形成することも1つの製造法です。
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使用用途
ノルボルネンは、そのままの構造で用いられることは少ないです。他の有用化合物の原料として、医薬品中間体、殺虫剤成分、芳香剤成分、有機合成研究などに使用されています。
特徴的な用途は、その環内にビニル結合を有することから重合用のモノマーとして使用する場合です。ノルボルネンのみを単独で重合したホモポリマーは、その主鎖に剛直な環構造を持つことから耐熱性が高いです。また、高透明で低複屈折率であることから、光通信用の光導波路などとして用いられます。
さらに、や、といった他のビニル系モノマーと共重合したポリマーも使用されます。特にエチレンプロピレンゴムなどに加えることで、ゴムの物性をコントロールする使用法が有用です。
この時、ノルボルネンをモノマーとするだけでなく、ノルボルネンに置換基を加えた様々なノルボルネン誘導体モノマーが提案されています。
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純化方法
Reflux it over Na, and distil it [Gilliom & Grubbs J Am Chem Soc 108 733 1986]. It has also been purified by sublimation in vacuo onto an ice-cold finger. [Woon et al. J Am Chem Soc 108 7990 1986, Beilstein 5 IV 394.]