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性質
酸化鉄(Ⅱ):Fe(OH)2(89.86).酸素を完全に除いた鉄(Ⅱ)塩水溶液に水酸化ナトリウムを加えると得られる.白~淡緑色の粉末.密度3.40 g cm-3.きわめて酸化されやすく,水溶液では溶存酸素により徐々に,空気中ではただちに熱を発して酸化され,赤褐色の水酸化鉄(Ⅲ)になる.水に難溶.濃水酸化アルカリにはテトラヒドロキソ鉄(Ⅱ)酸塩MⅠ2[Fe(OH)4]をつくって溶ける.エタノール,エーテルに不溶.黒うるしの製造に用いられる.水酸化鉄(Ⅱ) 鉄(Ⅱ)塩の水溶液に、空気を断ってアルカリ金属水酸化物を加えると得られる。空気に触れると急速に暗緑色を経て黒色に変色する。この段階では鉄(Ⅱ)と鉄(Ⅲ)が共存しているが、さらに酸化が進むと赤褐色の酸化水酸化鉄(Ⅲ)(通常、水酸化鉄(Ⅲ)とよばれる)となる。水にはほとんど溶けないが、塩化アンモニウム水溶液や酸には溶ける。また、通常のアルカリ溶液には不溶であるが、濃水酸化ナトリウム溶液には[Fe(OH)4]2-イオンとなって溶ける。強い還元剤で、パラジウム触媒が存在すれば200℃で水を還元する。また硝酸塩をアンモニアに、ニトロベンゼンをアニリンに還元する。
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解説
(1) 水酸化鉄 (II) ,水酸化第一鉄 Fe(OH)2 。無色ないし淡緑色粉末結晶。 (2) 水酸化鉄 (III) ,水酸化第二鉄 Fe(OH)3 。天然には褐鉄鉱などとして産出する。赤ないし褐色粉末。 500℃で水を失い酸化鉄となる。水,アルコールに不溶,無機酸に可溶。水の精製,顔料,触媒,吸着剤などに使用される。鉄さびの主要成分の1つ。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ブリタニカ
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製法
水酸化鉄(II)は水に溶けにくい性質を持ちます。ゆえに、などの水溶性物質を用いて鉄(II)イオンを含有する水溶液を用意して、これになどを用いて水酸化物イオンを供給すると、次式に示すように沈殿が生じます。
FeSO4 + 2 NaOH → Fe(OH)2 + Na2SO4
水酸化鉄(III)は、鉄(III)塩水溶液のpHを6.5~8に調整すると沈殿します。例えば、実験室での製法としては、次式に示すように、塩化第二鉄や硝酸第二鉄などの鉄(III)塩と水酸化ナトリウムを反応させて得られます。
FeCl3 + 3 NaOH → Fe(OH)3 + 3 NaCl
Fe(NO3)3 + 3 NaOH → Fe(OH)3 + 3 NaNO3
あるいは、酸存在下において、水酸化鉄(II)をで酸化されることで作製できます。
2 Fe(OH)2 + H2O2 → 2 Fe(OH)3
また、学習的には、塩化鉄(Ⅲ)水溶液を沸騰水に滴下すると、水酸化鉄(Ⅲ)コロイド粒子が得られます。このような粒子は、一定の大きさで安定的に水溶液中に懸濁しているもので、チンダル現象や凝析などの現象を観察することができます。
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化学的特性
white, amorphous powder(s) or white to pale green, hexagonal crystal(s); oxidizes in air [MER06]
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物理的性質
Pale green hexagonal crystals (in partially oxidized form) or white amorphous powder (when pure); density 3.4g/cm3; decomposes on heating; insoluble in water (1.5 mg/L at 20°C), KSP 8.0 x 10-16; soluble in acids; moderately soluble in ammonium salt solutions; insoluble in alkalies.
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使用
The compound is used in abrasives; and in pharmaceutical applications.
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製造方法
Iron(II) hydroxide may be prepared by precipitation of an iron(II) salt solution with caustic soda or caustic potash in the absence of air. Pure compound may be obtained by mixing solutions of caustic potash and iron(II) sulfate— both the solutions made in freshly boiled water—in a reducing atmosphere of hydrogen:
Fe2+ + 2OHˉ → Fe(OH)2
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使用用途
主要用途は下記の通りです。
水酸化鉄(II)
エナメルの製造、触媒、熱線吸収ガラスなどに使用されます。また、水質改善のための薬剤や、ニッケル鉄電池負極の電気化学的活性物質としても用いられます。
水酸化鉄(III)
顔料として、塗料・インキ、紙、ゴム、プラスチックなどに配合されます。また、、貴金属、ダイヤモンドの研磨材として用いられています。高純度のものは半導体、、またマグネットの原料にもなっています。
FDA(米国食品医薬品局)により化粧品への使用が承認されており、一部のタトゥーインクにも使用されています。また、鉛除去用の吸着剤やリン酸塩バインダーとして、水質改善のための薬剤として用いられます。