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解説
金属,一般に、特有の光沢をもち、電気と熱をよく伝え、展性・延性をもつ常温で固体の物質の総称(ただし水銀は常温で液体)。
元素の4分の3は金属である。2016年の時点で118の元素が知られている。104番以降の元素は信頼性の高いデータはほとんど得られていないが、2014年106番元素のシーボーギウムは第6族元素に特徴的な化学的性質をもつことが高い信頼度で実証された。原子番号93番以上の元素はすべて人工的につくられたものであるが、それ以外でも43番のテクネチウム、61番のプロメチウム、85番のアスタチンと87番のフランシウムの4種は天然には存在しない。これらの元素のうち約3分の2が金属元素であるが、金属的な性質をもつ元素までを含めると4分の3にもなる。
これらの金属元素が形づくる固体は(以下とくに断らないときは、金属とは金属固体を意味する)、塩や砂糖、あるいは岩石などとは異なり、さまざまな際だった性質をもっている。金属は熱や電気をよく伝え、たたいたり伸ばしたりすることによって、線にしたり板にすることができる。光に対して不透明で特有の金属光沢をもっている。アルカリ金属のように酸素と反応しやすい金属もあれば、金や白金のようにほとんど酸化されない金属もある。スズのように室温では金属であるが、冷やすと灰白色の非金属状態に変化するものもある。
一方、黄鉄鉱(硫化第二鉄)のように黄金色の外観をもつ物質ではあるが金属でないものもある。物理的には「金属とは一つのフェルミ面をもつ物質である」と定義づけられるが、これはあまりに専門的な表現である。化学的には、酸と反応して塩(えん)をつくる元素を金属元素というと定義することができるが、これは原子としての性質であり、金属結晶の特性ではない。
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金属の特質は何によるか
金属の特質の多くは、金属の原子が凝集して結晶になるとき、原子核の周りの最外核を形成する電子(価電子という)が伝導電子となって結晶の中を自由に動き回れる状態になることに起因している。ナトリウムのような1価の金属(価電子が原子当り1個のもの)を例にとると、正イオン当り1個の価電子が結晶格子内の空間に雲のようにたなびいているようすに例えられる。正イオンの格子と負の電荷をもつ電子の雲が静電気的な力(クーロン引力)を及ぼし合って凝集しているのが金属である。電子雲というのは、価電子のそれぞれが波動として結晶全体に広がっているもので、それらを粒子としてみれば、伝導電子が自由に動き回っていることに相当する。
金属に展延性があり、圧延して薄板に成形したり、線引きして針金にしたりできるのは、イオンの格子が外力によってずれても、全体に広がった電子雲との凝集力があまり変化しないからと考えられる。これに反して岩塩やダイヤモンドのような結晶では、外力で変形させることは結合を断ち切ることになる。
金属が容易に変形できるのは、一つは金属結合によっているが、さらには金属結晶の中にある種々の欠陥を仲立ちとして金属原子が外力をかけたとき容易に動けること、結晶の面が互いにずれ合えることによっている。したがって、実在の金属の結晶面を滑らすために必要な力は、理論的に欠陥がないとして計算した値に比べて1桁(けた)も2桁も小さい。もっとも容易に変形させやすい金でいえば、途中なましたりしないで1グラムの金で2000メートル以上に引き伸ばして金糸をつくれる。また、金箔(きんぱく)としては0.07マイクロメートルもの薄さにすることができる。
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金属の構造敏感性
金属の多くの性質は、特定の処理を行うことによって、しばしば著しく変化する。たとえば、各種の金属元素を添加して合金をつくったり、適当な熱処理を施したり、機械的な変形を加えたり、中性子で照射したりすると、著しく性質が変化することがある。金属が塑性変形を開始するときの機械的応力を降伏点というが、高純鉄では1平方ミリメートル当り約1キログラムなのに対して、炭素を数原子%加え、適当な熱処理を施すと(鋼がこれである)1平方ミリメートル当り200キログラムもの値にまで上昇する。同様なことは、電気伝導度、耐食性などでもおこる。このような金属の性質を構造敏感な性質とよぶが、融点、密度、熱容量などは、前述のような処理によってもあまり変化しない。
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定義
metal: Any of a class of chemical elementsthat are typically lustroussolids that are good conductors ofheat and electricity. Not all metalshave all these properties (e.g. mercuryis a liquid). In chemistry, metalsfall into two distinct types. Those ofthe s- and p-blocks (e.g. sodium andaluminium) are generally soft silveryreactive elements. They tend to formpositive ions and so are described aselectropositive. This is contrasted with typical nonmetallic behaviourof forming negative ions. The transitionelements (e.g. iron and copper)are harder substances and generallyless reactive. They form coordinationcomplexes. All metals have oxidesthat are basic, although some, suchas aluminium, have amphotericproperties.
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金属の結晶構造
多くの金属は面心立方格子、最密六方格子、体心立方格子という比較的簡単な結晶格子を形づくっている。通常われわれが見ているのは、細かい結晶が集まったもの(多結晶という)である。
球を密に積み重ねる方法には2通りあるが、一つは面心立方格子になり、一つは最密六方格子になる。まず、平面に球を密に並べる。これは1通りである。次にこの上に球を密に積む方法も1通りである。3層目に球を積む方法には、1層目と同じ位置に積む場合と、2層目のあいたところに積み、4層目はまた1層目と同じになる場合との2通りがある。前者の積み方を六方の積み方といい、最密六方格子がこれにあたる。後者の積み方を立方の積み方といい、面心立方格子はこれである。体心立方格子は、立方体の八つの隅に球があり、立方体の中心に球が1個の形である。これには各隅8個、面の中心にある6個、計14個の球(原子)があるように見えるが、実は4個だけがこの単位胞に属している。隅の8個は隣り合う8個の単位胞により共有され、面の中心の球は隣り合う2個の単位胞により共有されているからである。体心立方構造の場合は2個がこの単位胞に属している。
金、銀、銅、白金、ニッケル、アルミニウム、鉛などが面心立方構造をとり、鉄、タングステン、クロム、ナトリウム、カリウムなどが体心立方構造を、マグネシウム、チタン、ジルコニウムなどが最密六方構造をとる。カドミウムと亜鉛は、ラグビーのボールのように縦に伸ばした球を積んだ形の最密六方構造である。この3通りの結晶構造以外のものは、ウラン、マンガン、スズ、インジウム、ガリウム、水銀など、例外的で少数派のものである。