解説
水マンガン鉱,マンガナイトとも。化学組成MnO(OH)のマンガン鉱物。鱗繊(りんせん)石FeO(OH)のマンガン置換体。単斜晶系。短柱状または長柱状結晶,あるいは小塊状,針状となって産出。硬度4.0,比重4.3。ガラスまたは亜金属光沢を有し,鋼灰色ないし鉄黒色を呈する。へき開は完全,条痕(じょうこん)色は暗赤褐色,断口は亜貝殻状。マンガン鉱石として重要なもので,多く軟マンガン鉱とともにマンガン鉱脈に産出。日本ではおもに第三紀層の層状マンガン鉱床中に産する。グラウト鉱groutite(α(アルファ)-MnOOH)およびファイトクネヒト鉱feitknechtite(β(ベータ)-MnOOH)とは同質異像関係にある。低温熱水鉱床中、黒鉱鉱床中、スモーカー周辺海底堆積(たいせき)物中に産し、また循環水中の堆積物として生成されるほか、緑マンガン鉱の酸化分解によって生ずることもある。分解して二酸化マンガンの鉱物、とくに軟マンガン鉱になりやすい。自形は一方向に伸びた柱状で、伸びの方向に平行な条線がよく発達し、束状集合をつくるほか、微細結晶が団塊、鍾乳石(しょうにゅうせき)様の集合体をなすこともある。日本では秋田県花岡鉱山(閉山)で多産した。命名は化学組成にちなむ。