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外観
白色~わずかにうすい褐色, 結晶~結晶性粉末
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種類
フェナントレンは、現在主に研究開発用試薬製品として販売されています。製品容量には、1g , 5g , 25g , 500gなどの種類があり、実験室で取り扱いやすい形態で提供されています。室温で保管可能な試薬製品として取り扱われる物質です。
純粋なフェナントレン製品の他に、メタノール溶液・トルエン溶液・イソオクタン溶液・アセトニトリル溶液・塩化メチレン溶液などが販売されています。また、通常フェナントレンの他に水素原子を全て重水素で置換したd-10フェナントレン製品も販売されています。本製品の主な用途はGC/MS分析用内部標準物質です。環境ホルモンの疑いのある品目などをGC/MSを用いて分析する際に、内部標準物質として使用することができます。
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反応
フェナントレンの異性体には、芳香環が直線状に並んだアントラセンがありますが、フェナントレンはこのアントラセンよりも安定です。近年では、この理由は4位と5位の炭素に結合する水素-水素結合の効果によるものであるとされています。
フェナントレンはアントラセンと同じく、9・10位の反応性が高い化合物です。主要な化学反応の例には次のようなものがあります。
- オゾン酸化によるジフェニルアルデヒドの生成
- クロム酸酸化によるフェナントレンキノンの生成
- 水素ガスとRaney Niを用いた還元による、9,10-ジヒドロフェナントレンの生成
- 臭素を用いた求電子ハロゲン化反応による9-ブロモフェナントレンの生成
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溶解性
水に不溶。各種有機溶剤に可溶。特に芳香族溶媒によく溶ける。溶液は通常青色の蛍光を発する。
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解説
フェナントレン,ふぇなんとれん,1872年ドイツのR・フィティッヒにより、コールタール中に存在することがみいだされ、主としてアントラセン油から分離される。またスチルベンの光による環化・脱水素反応によっても得ることができる。.結晶.融点101 ℃,沸点340 ℃.d04 1.213.λmax 250,293,300,346 nm(log ε 4.7,4.1,2.5,2.5,エタノール).ベンゼン,エーテルに易溶,エタノールに可溶.溶液は青い蛍光を発する.クロム酸で酸化するとフェナントラキノンを生じる.刺激性物質.
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用途
有機合成原料(染料、樹脂、医薬)。
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用途
染料
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合成
フェナントレンは、同様、中に存在しています。アントラセン油からの分離によって得ることができます。また、天然の鉱物であるラバト石からも採取することが可能です。
古典的な合成法としては、バーダン・セングプタのフェナントレン合成があります。この反応はベンゼンの一つの水素をシクロヘキサノール基で置換した化合物を出発物質として、五酸化二リンを用いた芳香族求電子置換反応と、続くを用いた脱水素化反応によって芳香環を形成する二段階反応です。また、ビベンジル、スチルベンなどから合成されるジアリールエテン類における、光環化・脱水素反応によってもフェナントレンを得ることが可能です。
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説明
Phenanthrene is a polycyclic aromatic hydrocarbon (PAH)
composed of three fused benzene rings. The name phenanthrene
is a composite of phenyl and anthracene. In its pure
form, it is found in cigarette smoke and is a known irritant,
photosensitizing skin to light. Phenanthrene appears as a white
powder having blue fluorescence.
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性質
アントラセンより共鳴エネルギーは大きく(387.5kJ/mol)、安定である。溶液は青色の蛍光を放つ。クロム酸を用いて酸化すると、フェナントレンキノンが得られる。求電子置換反応を受けるが、多置換体や混合物になるので、誘導体を純粋に合成するのにはハウワース法が優れている。染料、医薬品の合成原料として重要である。
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化学的特性
Phenanthrene is a white crystalline substance. Weak aromatic odor. Polycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs) are compounds containing multiple benzene rings and are also called polynuclear aromatic hydrocarbons.
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物理的性質
Colorless, monoclinic crystals with a faint, aromatic odor
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使用
Phenanthrene is a polycyclic aromatic hydrocarbons, an environmental pollutant.
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定義
ChEBI: A polycyclic aromatic hydrocarbon composed of three fused benzene rings which takes its name from the two terms 'phenyl' and 'anthracene.'
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調製方法
Phenanthrene occurs in coal tar and can be isolated from
several types of crude petroleum.
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一般的な説明
Colorless monoclinic crystals with a faint aromatic odor. Solutions exhibit a blue fluorescence.
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空気と水の反応
Insoluble in water.
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反応プロフィール
Phenanthrene may react with oxidizing materials .
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健康ハザード
The acute oral toxicity of phenanthrene is low.It is more toxic than anthracene. An oral LD50value in mice is reported at 700 mg/kg. It maycause tumor in skin at the site of application.The evidence of carcinogenicity in animals,however, is inadequate.
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火災危険
Phenanthrene is combustible.
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使用用途
フェナントレンは主に有機合成用途で用いられます。特に、染料、樹脂、医薬品の合成原料として重要な化合物です。溶液の状態になると青色の蛍光を示すことが特徴の一つです。また、天然に存在する誘導体としては、モルヒネやコデイン、アリストロキア酸などがあります。
フェナントレン系化合物には、医薬品の他に、殺虫剤などの用途もあります。尚、染料として使用される場合は、アリザリンなどの原料として使用されます。
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安全性プロファイル
Poison by intravenous route. Moderately toxic by ingestion. Mutation data reported. A human skin photosensitizer. Questionable carcinogen with experimental neoplastigenic and tumorigenic data by skin contact. Combustible when exposed to heat or flame; can react vigorously with oxidizing materials. To fight fire, use water, foam, CO2, dry chemical. When heated to decomposition it emits acrid smoke and irritating fumes
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職業ばく露
Dust may form explosive mixture with air. Incompatible with oxidizers (chlorates, nitrates, peroxides, permanganates, perchlorates, chlorine, bromine, fluorine, etc.); contact may cause fires or explosions. Keep away from alkaline materials, strong bases, strong acids, oxoacids, epoxides.
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概要
フェナントレン (Phenanthrene) とは、分子式 C14H10で表される有機化合物です。
3個のベンゼン環が縮合した多環芳香族炭化水素です。フェナントレンという名前は、フェニル基のついたという意味に由来しています。CAS登録番号は、85-01-8です。
分子量178.23、融点101℃、沸点332℃であり、常温では無色または淡黄色で無臭の固体です。青い蛍光を放つ性質があります。密度は1.18g/cm3です。水にはほぼ不溶 (溶解度0.00011g/100mL) ですが、や四塩化炭素、エーテルや、など、比較的極性の低い有機溶媒には溶けやすい性質を示します。
安定性は高いですが、水生環境に関しては、短期、長期ともに有害性があるため、廃棄する際には注意が必要です。
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発がん性
Phenanthrene is ineffective as an
initiator. It is not classifiable as to human carcinogenicity—
class 3 by IARC and class D by IRIS, based on
no human data and inadequate data from a single gavage
study in rats and skin painting and injection studies in
mice.
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輸送方法
UN3077 Environmentally hazardous substances, solid, n.o.s., Hazard class: 9; Labels: 9-Miscellaneous hazardous material, Technical Name Required.
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廃棄物の処理
Consult with environmental regulatory agencies for guidance on acceptable disposal practices. Generators of waste containing this contaminant (≥100 kg/mo) must conform with EPA regulations governing storage, transportation, treatment, and waste disposal.