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外観
白色~褐色, 結晶性粉末
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種類
アントラニル酸は、一般的には研究開発用試薬製品として販売されています。25g , 100g , 500gなどの容量の種類があります。室温で保存可能な試薬製品として提供される化合物です。
アントラニル酸は、麻薬及び向精神薬取締法において向精神薬原料に指定されている化合物です。取り扱いの際は法令を遵守して正しく扱うことが必要とされます。
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性質
o-アミノ安息香酸は、無色~黄色の薄片または白色~黄色の結晶性粉末です。密度は1.41で、融点は146〜148℃です。o-アミノ安息香酸は、水銀やカドミウムなど、さまざまな金属イオンとキレート錯体を形成します。弱酸性条件で錯体は、沈殿を生成します。
p-アミノ安息香酸は、融点が187〜189℃の白色結晶です。
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性質
図2. アントラニル酸の化学反応の例
アントラニル酸は、種々の化学反応が知られています。例えば、アントラニル酸は、ジアゾ化反応を起こしてジアゾニウムイオンを生じることが知られており、このジアゾニウムイオン生成物はベンザイン構造を与えたり、更に二量化したりすることが知られている化合物です。
また、ジアゾ化に続くジメチルアニリンとの反応によって、メチルレッドを調製することが可能です。アントラニル酸とクロロギ酸エチルの反応、もしくはアントラニル酸ナトリウムにホスゲンを反応させることによって、イサト酸無水物を生成することが知られています。
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溶解性
熱湯, エタノール, エーテルに可溶。
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解説
アントラニル酸.フタルイミドのホフマン転位,あるいはo-ニトロ安息香酸の還元によってつくられる.生体内ではビタミン L1 として存在し,キヌレニナーゼの作用によりキヌレニンからつくられる.結晶.融点145 ℃.熱水,エタノール,エーテルに可溶.酸性および塩基性を示す.Ka 9.3×10-6(19 ℃),Kb 6.3×10-3(25 ℃).トリプトファン代謝の中間物である.またカドミウム,コバルトなどの金属イオンと不溶性のキレート化合物をつくるので,これらの定量に用いられる.染料や顔料の合成の中間体としても用いられる.肝臓や酵母中に存在し、ネズミの乳汁分泌に必要であるが、人間については未確認である。o-ニトロ安息香酸の還元によってつくられる。生体内では、アントラニル酸合成酵素によってつくられ、トリプトファンの母体となるほか、トリプトファンの代謝産物のキヌレニンからキヌラーゼの作用によってもつくられる。
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用途
生体内でのトリプトファン合成に関与するシキミ酸経路では、コリスミ酸とグルタミンからアントラニル酸シンターゼによって合成される。また様々なアルカロイドの前駆体となる。一方、トリプトファンの代謝経路であるキヌレニン経路においてキヌレニンより生合成される。 メタノールとのエステルであるアントラニル酸メチルはブドウやジャスミンに含まれる香気成分である。1991年(平成3年)に改正された麻薬及び向精神薬取締法で、向精神薬原料に加えられた。
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構造
アミノ安息香酸の化学式は、C7H7NO2です。ベンゼン環に1個のアミノ基 (-NH2) と1個のカルボキシ基 (-COOH) が結合しています。モル質量は137.14です。
o-アミノ安息香酸の別名は、です。その一方で、p-アミノ安息香酸は、4-アミノ安息香酸とも呼ばれています。
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合成
1. o-アミノ安息香酸の合成
生体内でo-アミノ安息香酸は、トリプトファン (英: tryptophan) の合成に関与するシキミ酸経路 (英: shikimic acid pathway) で、アントラニル酸シンターゼ (英: anthranilate synthase) により、グルタミン (英: glutamine) とコリスミ酸 (英: chorismic acid) から合成されます。o-アミノ安息香酸は、多種多様なアルカロイドの前駆体です。
それ以外にも、トリプトファンの代謝経路のキヌレニン経路 (英: kynurenine pathway) でも、キヌレニンによってo-アミノ安息香酸が生合成されます。
2. p-アミノ安息香酸の合成
葉酸の前駆体として、生体内でp-アミノ安息香酸が合成されます。p-アミノ安息香酸は真正細菌にとっては必須の栄養素ですが、ヒトには必須ではありません。真菌の酵素によってp-アミノ安息香酸は葉酸に変換されますが、ヒトはジヒドロプテロイン酸シンターゼ (英: dihydropteroate synthase) を持っていないためです。
そしてサルファ薬 (英: sulfonamides) は、p-アミノ安息香酸に構造が似ているため、酵素を阻害し、真菌選択的に抗菌作用を示します。
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合成
図2 アントラニル酸の合成
工業的・合成化学的には、アントラニル酸は、次亜塩素酸を用いたのホフマン転位、または、o-ニトロ安息香酸の還元によって合成されます。
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化学的特性
White to off white crystalline powder
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使用
Anthranilic acid can be used in organic synthesis to generate the benzyne intermediate. It is used as an intermediate for production of dyes, pigments, and saccharin. It and its esters are used in preparing perfumes to imitate jasmine and orange, pharmaceuticals and UV-absorber as well as corrosion inhibitors for metals and mold inhibitors in soya sauce.
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主な応用
2-Aminobenzoic acid is called vitamin L1; it enhances the milk production of cows. The major use of 2-aminobenzoic acid is as an intermediate for dyes. As its occurrence suggests, it is an intermediate for indigo synthesis. Mordant Brown 40 and Vat Violet 13 are other derivatives. 4-Hydroxy-1-methyl-carbostyril [1677- 46-9] is an important derivative used in making dyes and pigments. Its methyl and ethyl esters are used as fragrances for toiletries. In the pharmaceutical industry, it is used as an intermediate for tranquilizers and antiphlogistics.
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定義
ChEBI: An aminobenzoic acid that is benzoic acid having a single amino substituent located at position 2. It is a metabolite produced in L-tryptophan-kynurenine pathway in the central nervous system.
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一般的な説明
Odorless white to pale-yellow or tan crystalline powder with a sweetish taste.
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空気と水の反応
Anthranilic acid may be sensitive to prolonged exposure to air and light. Insoluble in water.
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反応プロフィール
Anthranilic acid is incompatible with strong oxidizers.
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危険性
Questionable carcinogen.
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火災危険
Anthranilic acid is combustible.
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生合成と生体内利用
アントラニル酸は哺乳類に対して催乳作用を示すため、ビタミンL1とも呼ばれている物質です。生体内でのシキミ酸経路では、コリスミ酸とグルタミンからアントラニル酸シンターゼによって合成されます。
また、トリプトファンの代謝経路の1つであるキヌレニン経路においては、キヌレニンより生合成されています。アントラニル酸は、さまざまなアルカロイドの前駆体です。アントラニル酸とのエステル化によって生成されるアントラニル酸メチルは、ブドウやジャスミンに含まれている香気成分です。
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使用用途
アミノ安息香酸のうち、o-アミノ安息香酸は、水銀、などの金属イオンの分析試薬として使用されます。また、染料の合成にも利用可能です。
それに対して、p-アミノ安息香酸は主に美容分野に用いられており、紫外線が体内や肌の奥に侵入するのを抑制するため、肌の美白を補助する成分としてサプリメントに使われています。医薬品としては、過敏性腸症候群の治療薬としても使用可能です。
さらに、アミノ安息香酸のエステルの誘導体やアミドの誘導体は、局所麻酔薬としても利用されています。
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法規制情報
アントラニル酸は、「麻薬及び向精神薬取締法」において、「アントラニル酸及びその塩類」の名称で規制の対象となっており、向精神薬原料に指定されている物質です。そのため、取り扱いの際には、法令を遵守して正しく扱うことが求められています。
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使用用途
アントラニル酸は、カドミウムやコバルト等の金属イオンと不溶性のキレート化合物を生成するため、これらの金属イオンの定量に用いられている他、インディゴ等の染料や顔料を合成する際に、合成中間体としても使用されています。例えば、ジメチルアニリンとのジアゾカップリング反応により、アゾ染料であるメチルレッドの合成が可能です。
また、アントラニル酸の誘導体も、種々の利用法があります。例えば、アントラニル酸とメタノールのエステル化合物は、香料として利用される化合物です。
アントラニル酸カルシウムは、工業的にはアクリジンの原料として有用な化合物です。このアクリジンは、アクリジン系染料や医薬品の有機合成原料、生体組織の部分染着試薬として広く利用されています。
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安全性プロファイル
Moderately toxic by
ingestion and intraperitoneal routes.
Experimental reproductive effects. Human
mutation data reported. Questionable
carcinogen with experimental tumorigenic
data. Combustible. When heated to
decomposition it emits toxic fumes of NOx.
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概要
アミノ安息香酸とは、芳香族アミノカルボン酸の一種です。
アミノ安息香酸には、o (オルト) 、m (メタ) 、p (パラ) の3種の異性体が存在します。3種類の異性体の中で特に重要視されているのは、o-アミノ安息香酸とp-アミノ安息香酸です。o-アミノ安息香酸は、哺乳類に催乳作用を示し、ビタミンL1としても知られています。p-アミノ安息香酸は、生体内で葉酸 (英: folate) のとして合成されます。
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純化方法
Crystallise anthranilic acid from water (charcoal). It has also been recrystallised from 50% aqueous acetic acid. It sublimes in a vacuum. [Beilstein 14 IV 1004.]