解説
引火点,可燃性の液体または固体を加熱しながらその表面近くに炎をもたらすときに発火する現象を引火といい,引火が起る最低温度を引火点という。換言すれば,引火点とは液体または固体が,その表面で燃焼範囲の下限に相当するだけの蒸気を発生する温度のことである。引火点では蒸気量が少いので,引火しても燃焼を継続せず,さらに温度が上昇すると燃焼を継続するようになる。この温度を燃焼点 burning pointという。さらに加熱され,炎がなくとも発火する最低温度を発火点という。引火点,燃焼点,発火点とも試験法,測定条件によって多少異なるので,物理定数ではないが,取扱い上重要な物性の一つである。たとえばガソリンおよびエタノールの引火点と発火点とは,-42.8℃,280℃および 11.1℃,422℃。