解説
花粉【かふん】
種子植物の生殖に関与する雄性細胞で,葯(やく)でつくられる。大きさは普通40μm内外。円,楕円,三角形などの形があり,色も多様。表面の花粉外膜は肥厚し,粒状,網状,とげ状等の模様となり,肥厚の少ない所は花粉管の発芽口となる。発芽口は,全くないもの(クスノキなど)から多数あるもの(オシロイバナなど)まで,植物により異なる。花粉の量は送粉の方法と関連し,風媒花粉が多く,虫媒花粉が少ない。葯内の花粉母細胞は減数分裂をし,4個の細胞(花粉四分子)となり,それぞれが1個の花粉となる。これが互いに接着しているときは,花粉塊という(ラン科)。花粉は,初め1個1細胞だが,裸子植物では,後に数細胞となり,一つが,2精細胞に分裂し,その中の1個だけが卵核と合一。イチョウなどでは動性の精子を生ずる。被子植物では,ふつう生殖細胞と栄養細胞の2細胞となり,後者の核は花粉管核となる。受粉後,花粉は発芽して花粉管を伸ばす。このとき,生殖核は2核に分裂し,それぞれ胚嚢中の卵細胞,中心核と合一する。