解説
黄土,粘土,細砂からなり,均質,多孔質,粗鬆(そしょう)な黄褐色の土。レスともいう。無層理で風化によって縦の割れ目が発達する。石灰分 CaCO3が多く,これが黄土小僧,しょうが石と呼ばれる特有の結核となって含まれる。鉱物は石英が多く,少量の粘土鉱物,長石,雲母などの有色鉱物を伴う。中国北部,ヨーロッパ,北アメリカ,北アフリカ,ニュージーランドなど世界的に分布する。日本では玄海砂丘,山口県安岡付近にレス状砂からなる古砂丘があるといわれる。黄土は中央ヨーロッパでは厚さ 10~20mで 4層に分けられ,間に氷河による堆石の層がある。中国の黄土は 1879年フェルディナント・ウィルヘルム・リヒトホーフェンが厚さ 600mに及ぶとしたが,今日ではこれは新第三紀以後の赤色粘土層全体をさすもので,黄土は 10m程度と訂正されている。黄土は更新世の氷食によってできた岩粉が乾燥気候の時期に風で運ばれたものとされているが,ほかに湖成説,河成説などもある。黄土は毛管水を吸上げる性質があるので,乾燥期でも農作物が育つ。黄土は細粒のため風が吹けば「黄塵万丈」状態になり,水中では懸濁して黄河,黄海の泥水のもとになっている。