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性質
酒石酸カリウムナトリウムのモル質量は282.1、融点は75°C、沸点は220°Cです。酒石酸カリウムナトリウムの結晶は、相対湿度がおよそ84%以上で溶解し、相対湿度がおよそ30%以下になると脱水します。
酒石酸カリウムナトリウムは、2価のカルボン酸である酒石酸とナトリウムおよびカリウムの塩です。通常4分子の結晶水を含んでおり、化学式はKNaC4H4O6·4H2Oで表されます。
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解説
KNaC4H4O6(210.16).ロシェル塩,またはセニエット塩ともいう.A. Seignetteが,1672年にフランスのLa Rochelleで,はじめて医薬としてつくったもので,すぐに医薬として広まった.酒石酸ナトリウムカリウムは,DL-,D-,L-,メソの4種類がある.それぞれの形の酒石酸水素カリウム水溶液に炭酸ナトリウムを作用させると得られる.また,DL-塩は,水溶液から低温ではその四水和物が得られるが,水溶液を55 ℃ 以上にすると,D-,L-塩が分離する.工業的には,ぶどう酒醸造の際に得られる酒石(主成分が酒石酸水素カリウム)からつくられる.DL-塩の四水和物は三斜晶系の結晶で,やや風解性がある.水に易溶.結晶は約90 ℃ で融解し,約200 ℃ で分解する.D-およびL-塩の四水和物は斜方晶系の結晶で,密度1.766 g cm-3.-18 ℃ と+24 ℃ にキュリー温度をもち,その間では強誘電体となる.水に易溶.約200 ℃ で分解がはじまる.メソ塩は小さな結晶になり,水に易溶.約110 ℃ で分解がはじまる.医薬品(利尿剤,緩下剤),圧電素子(四水和物は大きな単結晶が得られるのでマイクロホン,ピックアップなどに利用される),ラジオ周波数の調節,銀鏡の製造,食品工業(プロセスチーズの乳化剤など),分析試薬(フェーリング液,Cu,Cr,Znのマスキング)などに用いられる.
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用途
やや塩辛く清涼感のある風味を持ち、EUでは食品添加物として認められている(E337)。薬学分野では下剤や利尿剤として用いられる。穏和な還元作用をもつため、銀の無電解めっきを行う場合に還元剤として用いられる。古くは板ガラスから鏡を作製する際に利用された。医薬品(利尿剤,緩下剤),圧電素子(四水和物は大きな単結晶が得られるのでマイクロホン,ピックアップなどに利用される),ラジオ周波数の調節,銀鏡の製造,食品工業(プロセスチーズの乳化剤など),分析試薬(フェーリング液,Cu,Cr,Znのマスキング)などに用いられる.
酒石酸ナトリウムカリウムは,この結晶を適当に切ったものは、第二次世界大戦当時は圧電素子として用いられていたが、吸湿性が大きいなどの欠点があり、現在ではあまり使われなくなった。
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合成
1モルの酒石酸水素カリウムを含む加熱溶液に、0.5モルのを添加することで、酒石酸カリウムナトリウムが調製可能です。熱い内に溶液を濾過して、濾液を乾燥することで、固体の酒石酸カリウムナトリウムが晶子 (英: Crystallite) として析出します。
スカイラブ (英: Skylab) において微小重力と対流条件下で、ロッシェル塩の大きい結晶への成長実験が実施されたことがあります。
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説明
Potassium sodium tartrate is a double salt first prepared (in about 1675) by an apothecary, Pierre Seignette, of La Rochelle, France. As a result the salt was known as Seignette's salt or Rochelle salt. Rochelle salt is not to be confused with rock salt, which is simply the mineral form of sodium chloride. Potassium sodium tartrate and mono potassium phosphate were the first materials discovered to exhibit piezo electricity.
It is a colorless to blue - white salt crystallizing in the orthorhombic system. Its molecular formula is KNaC4H4O6·4H2O. It is slightly soluble in alcohol but more completely soluble in water. It has a specific gravity of about 1.79, a melting point of approximately 75°C, and has a saline, cooling taste. As a food additive, its E number is E337.
It has been used medicinally as a laxative. It has also been used in the process of silvering mirrors. It is an ingredient of Fehling's solution, formerly used in the determination of reducing sugars in solutions.
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化学的特性
often supplied as a colourless aqueous solution
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使用
Potassium Sodium Tartrate Solution is a chelator used for research purposes.
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製造方法
Potassium sodium tartrate, (KNaC4H4O6) may be prepared by adding 0.5 mole sodium carbonate to heated solution containing 1 mole potassium bitartrate(KHC4H5O6). (1M KHC4H4O6 : 0.5M Na2CO3). The solution is filtered while hot. This solution is then dried to precipitate solid potassium sodium tartrate, as small crystallites.
Larger crystals of Rochelle salt have been grown under conditions of reduced gravity and convection on board Skylab .
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定義
ChEBI: The organic sodium and potassium salt of L-tartaric acid (mol ratio 1:1:1).
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作用
酒石酸カリウムナトリウムは水への溶解度が高く、水中では電離してキレート作用を有する酒石酸イオンが生成します。そのため弱塩基性キレート剤として、酒石酸カリウムナトリウムを広く使用可能です。
有機合成において酒石酸カリウムナトリウムは、 (LAH) や水素化ジイソブチルアルミニウム (DIBAL-H) といった水素化アルミニウム系試薬を使った反応の後処理に利用されています。酒石酸カリウムナトリウムはキレート作用によって、分液操作時のエマルションや沈殿形成を抑止することが可能です。
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圧電効果
酒石酸カリウムナトリウムの単結晶は強誘電体として、4,000程度の高い比誘電率を示します。その一方で下限のキュリー温度を持っており、255〜297Kの温度範囲でのみ強誘電性を示さないことも特徴です。
以前はこの特徴を活かして、クリスタルマイクやクリスタルイヤホンなど、盛んに圧電素子として用いられていました。しかし現在では、圧電素子として (BT) やリン酸二水素カリウム (KDP) のような他の材料が発見されたため、湿気に弱い酒石酸カリウムナトリウムはほとんど使用されていません。
参考文献
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使用用途
酒石酸カリウムナトリウムは、強い圧電効果と高い誘電率を有する化合物のため、やとして使用されたり、や受話器などにも使用可能です。工業的に酒石酸カリウムナトリウムは、酒石酸水素カリウムと炭酸ナトリウム水溶液を反応させることによって合成されます。
その他、フェーリング液の主成分にもなっており、EUでは食品添加物として登録されています。また、医薬品や食品工業などにも用いられています。さらに、穏和な還元作用を持っているため、銀の無電解めっきの際に還元剤として利用され、古くは板ガラスから鏡を作るときに使用されていました。
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純化方法
Recrystallise it from distilled water (1.5mL/g) by cooling to 0o. [Beilstein 3 IV 1223.]