種類
酸性染料は,分子中にスルホン酸基やカルボキシ基(カルボキシル基)を有し、比較的分子量が小さく、羊毛やナイロンに染まるが、木綿に対しては親和性の小さい染料をいう。中性ないしは酸性の水溶液から繊維を染める。羊毛に対する染色性から、次の三つに分類される。
(1)均染型 酸性浴から染色し、均染性良好で布染めに利用、
(2)半ミーリング型 弱酸性浴から染色、均染性はやや悪い、糸染めに利用、(3)ミーリング型 中性浴から染色、均染性はよくないが、湿潤堅牢(けんろう)度は他のものよりも良好で、トップ染めに利用。なお、トップ染めとは、梳毛(そもう)の中間製品をボール状に巻き取ったものをトップといい、霜降りなどの糸をつくるための染色法である。先染(さきぞ)めともいう。酸性染料を化学構造からみると、アゾ系、アントラキノン系が主である。アゾ系では、黄、橙(だいだい)、赤、茶、紺、黒などの色調が得られるが、鮮明な紫、青、緑などはアントラキノン系によって与えられ、これら両者によりほとんどの色調がカバーできている。
酸性染料は塩基性染料に次いで歴史的にも古く、その種類も多い。塩基性染料に比べ堅牢度が高い。絹、羊毛、ナイロンなどのポリアミド系繊維の染色のみならず、改質合成繊維、皮革、紙、レーキ顔料、インキ、食用色素など広い用途を有する。