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外観
白色~ほとんど白色、結晶~粉末又は塊
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種類
フェニルボロン酸は、主に研究開発用試薬として販売されています。容量の種類には、1g , 10g , 25g , 50g , 100g , 500 gなどがあり、室温で保管可能な試薬製品です。
また、不純物としてフェニルボロン酸無水物が含まれる場合があります。
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溶解性
エタノール及びアセトンに溶け、水にほとんど溶けない。
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解説
フェニルボロン酸 (Phenylboronic acid) とは、有機ホウ素化合物の一種です。
分子式C6H7BO2で表され、ホウ素原子に2つのヒドロキシ基と1つのフェニル基が結合した構造をしています。フェニル基 (C6H5-) をPhと略して PhB(OH)2と書かれることもあります。フェニルホウ酸、ベンゼンホウ酸などの別名があり、CAS登録番号は98-80-6です。
分子量121.93、融点は216°Cであり、常温では白色または黄色の、無臭の結晶または粉末です。極性のある有機溶媒に溶けやすいことが特徴です。一方でや四塩化炭素などの無極性溶媒にはほとんど溶けません。フェニルボロン酸は弱いルイス酸であり、酸解離定数pKaは8.83です。
PRTR法では、第1種指定化学物質に指定されています。また、光によって変質する恐れや水質を汚染するおそれがあるため、保管や廃棄には注意が必要です。
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用途
フェニルホウ酸は白い粉で有機合成において一般的に使われている。ホウ酸は弱いルイス酸であり、グリニャール試薬などに比べ扱いやすいことから有機合成に重要である。クロスカップリング試薬、TOMACと組み合わせることで糖の抽出に利用される。
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化学的特性
white to light yellow crystal powder. Insoluble in water and benzene, easily soluble in ether and methanol. When exposed to air or under heating conditions, it is easy to dehydrate and form a three-molecular polymer.
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使用
Phenylboronic Acid is a compound used in organic synthesis of various pharmaceutical goods.
Phenylboronic acid (PBA) and its derivatives can bind sugars and other diol compounds to form cyclic boronate esters. These esters bear negative charges. Due to this reaction, sugars can be detected by means of electrochemical and optical techniques.
PBA modified electrodes have been constructed as reagentless electrochemical sensors. There, PBA is absorbed on the electrode surface either as a self- assembled monolayer film ore a polymer thin film. Basically, for optical detection techniques for the detection of sugars, PBA is modified with a chromophore that should change its properties on reaction with a sugar.
Reaction of Phenylboronic acid with a sugar
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定義
ChEBI: Phenylboronic acid is a member of boronic acids. It is functionally related to a boronic acid.
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一般的な説明
Phenylboronic acid (PBA) is an organoboronic acid. It behaves as a molecular receptor that can attach to compounds containing cis-diol group. Microwave-assisted Suzuki coupling of aryl chlorides with phenylboronic acid in the presence of Pd/C (catalyst) and water (solvent) has been described. Palladium-catalyzed cross-coupling reaction of phenylboronicacid with haloarenes to afford biaryls has been reported.
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使用用途
フェニルボロン酸は、弱いルイス酸としての性質や反応性を生かして種々の有機合成に利用されています。代表的な反応の例として、鈴木・宮浦カップリング反応によるビアリール化合物の合成や、による直接的アリール化などがあります。
その他にも反応性を生かして、炭化水素のセンサーやレセプター、全ポリマー型太陽電池のためのN型ポリマーなどにも利用される化合物です。医療分野での用途は、抗生物質や酵素阻害剤、中性子捕捉療法などが挙げられます。
生化学・ケミカルバイオロジー分野では、膜透過輸送や生体共役反応、タンパク質のラベリングなど生体反応にも用いることが可能な物質です。
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化学反応
図. フェニルボロン酸の化学反応の例
フェニルボロン酸は脱水反応によって三量体無水物であるボロキシンを生成します。この脱水反応は熱的に進行し、場合によっては乾燥剤が添加されます。また、クロスカップリング反応の反応剤として有用な化合物です。α-アミノ酸はα-ケト酸、アミン、フェニルボロン酸を反応させることにより、触媒を使用せずとも合成が可能です。
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安全性プロファイル
Poison by intravenous andintraperitoneal routes. Moderately toxic by ingestion.Mildly toxic by skin contact. When heated to decomposition it emitsacrid smoke and irritating fumes.
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特徴
フェニルボロン酸のホウ素原子は、sp2混成しているため空のp軌道を持ち、分子構造はC2vの分子対称性を持つ平面分子です。この平面形の分子は2分子単位でC-B結合を挟んでわずかに曲がって水素結合しており、2つのPhB (OH) 2分子の平面がなす角度はそれぞれ6.6°と21.4°です。
この2量体の単位が相互に水素結合を形成することで、直方晶系の分子結晶を形成します。
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合成方法
a) Pdによるカップリング
(Tet. 2011, 67, 576)
b) Grignard試薬からの合成
(Green chem. 2010, 12, 1758)