-
外観
無色~淡黄色、液体。
-
種類
図2. アゼチジンの誘導体
アゼチジンは、一般的に研究開発用試薬製品として販売されている物質です。容量の種類には250mg、1g、5g、25gなどの種類があります。実験室で取り扱いやすい容量での提供ですが、比較的高価な化合物と言えます。通常、冷蔵で保管されることの多い試薬製品です。
また、アゼチジンは、塩酸塩としても販売されています。その他、誘導体では、窒素原子上に置換基が導入された各種化合物のほか、炭素原子上に置換基が導入された化合物ではアゼチジン-2-カルボン酸、アゼチジン-3-カルボン酸、アゼチジン-3-オールなど、が挙げられます。
-
性質
アゼチジンの分子量は57.09、沸点は61-62℃であり、常温での外観は、無色から淡黄色の液体です。特異臭があります。
図1. アゼチジンの窒素原子の孤立電子対
引火点は、密閉式引火点試験で-21℃です。密度は0.847g/mLで、水と混和する性質があります。多くの二級アミンより塩基性が強く、共役酸の酸解離定数pKaは11.29です。
これは、炭素鎖が環状構造になっており、窒素原子の孤立電子対 (lone pair) が立体障害を受けにくく張り出した構造になっているためと考えられます。引火性が強く、皮膚を腐食させる性質がある物質です。
-
反応性
アゼチジンは、希塩酸中で加熱すると開環し,3-クロロプロピルアミン,3-アミノプロパノールなどが生成します。通常、適切な保管環境においては安定ですが、熱、炎、火花を避けるべきとされています。混触危険物質は、強酸化剤、強酸です。
-
解説
C3H7N(57.10).トリメチレンイミン(trimethyleneimine)ともいう.アゼチジンは,3-ブロモプロピルアミンと水酸化カリウムとの反応,あるいは1,3-ジブロモプロパンとp-トルエンスルホンアミドから調製されるp-トルエンスルホニルアゼチジンを1-ペンタノール中,金属ナトリウムで還元すると得られる.アンモニア臭をもつ無色の液体.沸点63 ℃(99.7 kPa).d2040.8436.[α]24D1.4287.pKa 11.3.希塩酸中で加熱すると開環し,3-クロロプロピルアミン,3-アミノプロパノールなどを与える.エーテルに可溶,水,エタノールには任意に混和する.森北出版「化学辞典(第2版)
-
合成
アゼチジンの合成方法には、3-ブロモプロピルアミンと水酸化カリウムとの反応や、p-トルエンスルホニルアゼチジンを金属ナトリウムで還元する方法などが知られています。p-トルエンスルホニルアゼチジンは、1,3-ジブロモプロパンとp-トルエンスルホンアミドから得ることが可能です。
-
使用上の注意
アルゴン封入
-
化学的特性
clear colorless liquid
-
使用
Azetidine is involved in a high yielding palladium-catalyzed cross-coupling reaction with aryl bromides. Further, it is used in Ullmann type coupling reaction with iodonitroflourenes. In addition to this, it reacts with bis-(3-amino-propyl)-amine to prepare N,N'-bis-(3-amino-propyl)-propanediyldiamine using palladium as a catalyst.
-
一般的な説明
Phototransformations of azetidine radical cations in freonic matrices under the action of light with λ = 436nm has been investigated. The IR spectrum of azetidine in solid argon matrices has been measured.
-
使用用途
アゼチジンの主な使用用途は、研究開発用試薬製品や有機合成材料などです。アゼチジンは、その合成の段階で四員環の窒素原子部分にさまざまな保護基を導入することが可能であり、その制御によって医薬品の側鎖部分として有用な化合物です。アゼチジンそのもの自体はあまり使用頻度の高くない化合物であると言えますが、その構造を有する誘導体であるアゼチジン系化合物が医薬品として用いられています。
アゼチジン化合物の医薬品としての研究は、1950年代の後半から盛んになり、現在では関節リウマチ、多発性硬化症、骨粗しょう症および骨溶解、がんの予防または治療剤などとしての利用、研究が進められています。アゼチジン及び誘導体は天然でもあまり多く含まれる物質では有りませんが、天然ではムギネ酸やアゼチジン-2-カルボン酸などの誘導体が存在します。
-
危険性と法規制情報
アゼチジンは、GHS分類において以下に指定されている物質です。
- 引火性液体: 区分2
- 皮膚腐食性/刺激性: 区分1B
- 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性: 区分1
取り扱いの際は、熱、炎、火花を避け、保護手袋・保護衣・保護眼鏡・保護面などの適切な保護具を着用することが必要です。法令では、消防法において、第4類引火性液体、第一石油類, 危険等級II、非水溶性液体に指定されています。
-
純化方法
Azetidine is a flammable, hygroscopic liquid smelling of ammonia, which absorbs CO2 from air and should be kept under Argon. Purify it by drying it over solid KOH and distilling it through a short Vigreux column (p 11) at atmospheric pressure (under Argon) and keeping the pot temperature below 210o. It is moisture sensitive. The hydrochloride M 93.6 has m > 300o and the hydroiodide has m 146.5o(from EtOH). The N-Me derivative has m 112o(from *C6H6/pet ether), and the Nphenylcarbamoyl derivative has m 189-190o(from EtOH). [Searles et al. J Am Chem Soc 7 8 4917 1956, Beilstein 20 H 2, 20 I 3, 20 II 3, 20 III/IV 53, 20/1 V 136.]