解説
銑鉄,溶鉱炉(高炉)内で鉄鉱石の還元により生成した鉄.銑鉄は還元剤のコークスと接触して炭素を多量に吸収し,副原料の鉄マンガン鉱からのマンガン,鉱石から還元されたケイ素,リン,また,コークスや重油からの硫黄をも吸収する.以上の成分元素を5元素とよび,鉄鋼製錬過程では非常に重要なものである.このほかにもチタン,クロム,ニッケル,銅などもごく微量入れることがある.これら成分元素の含有量は,操業条件によって多少制御することができる.銑鉄はその用途によって,鋳物用と製鋼用の二つに大別できる.鋳物用の特徴は湯流れをよくするためにケイ素量が多い.各銑鉄の組成の一例を次に示す.![](https://www.chemicalbook.com/NewsImg/2021-11-25/202111255483474885.jpg)
鋳物用銑は,高炉から出ると小さな鋳型に鋳込まれて,鋳物原料となる.銑鉄の大部分を占める製鋼用銑は,溶けたまま製鋼工場に運ばれ,転炉などによって酸化製錬をうけて鉄以外の成分元素の少ない鋼となる.