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外観
無色~うすい黄色透明液体
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性質
トリクロロシランの融点は-126.6°C、沸点は31.8°Cです。常温で無色透明で、刺激臭のある液体です。
可燃性が非常に高く、空気中で容易に発火します。数滴のトリクロロシランを中和する際には、NaOH (水酸化ナトリウム) またはNaHCO3 (炭酸水素ナトリウム) を使用可能です。
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反応
図2トリクロロシランの反応
トリクロロシランが空気中の水分と反応すると、腐食性のある塩化水素ガスが発生して、が生成します。
安息香酸をトルエン誘導体に変換する際に、トリクロロシランを使用可能です。まずカルボン酸がトリクロロシリルベンジル化合物になり、続いて塩基によってベンジルシリル誘導体がトルエン誘導体に変換されます。
トリクロロシランのヒドロシリル化や類似の反応によって、有用な有機ケイ素化合物を合成可能です。具体例として、オクタデシルトリクロロシラン (英: octadecyltrichlorosilane)、パーフルオロオクチルトリクロロシラン (英: perfluoroctyltrichlorosilane)、パーフルオロデシルトリクロロシラン (英: perfluorodecyltrichlorosilane) などが挙げられます。
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解説
トリクロロシラン,無色の流動性のある液体.正四面体型のSiHCl3分子が存在する.密度1.34 g cm-3.Si-Cl約2.02 Å,Si-H約1.47 Å.融点-126.5 ℃,沸点31.8 ℃.空気中で発煙する.蒸気と空気の混合気体は爆発性がある.有機溶媒(ベンゼン,二硫化炭素,四塩化炭素,クロロホルムなど)に可溶.水で加水分解する.第三級アミンとの混合物はポリハロゲン化合物や,芳香族カルボン酸を還元する.触媒の存在下で,オレフィンやアセチレンに付加する.半導体用高純度ケイ素の製造原料や,有機ケイ素化合物の合成原料に用いられる.有毒.
森北出版「化学辞典(第2版)
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用途
トリクロロシラン (trichlorosilane) 高温で熱分解を起こして単体ケイ素に変わる性質から、半導体工業において高純度ケイ素の主原料として利用される。水と触れると速やかに分解してシリコーンのポリマーおよび塩化水素となる。反応性が高く入手が容易であることから、有機ケイ素化合物の原料ともされる。
上記のように、トリクロロシランは高純度の多結晶ケイ素の原料とされる。
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構造
トリクロロシランは、水素、塩素、ケイ素から構成される無機化合物です。中心のケイ素原子に1個の水素原子と3個の塩素原子が結合しており、正四面体型の構造を取っています。モル質量は135.45g/molで、密度は1.342kg/m3です。
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ジンテーゼ
トリクロロシラン,シリコクロロホルムともいう.Siと乾いたHClとの反応や,SiH4とHClとをAlCl3触媒下で反応させると得られる.
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合成
図トリクロロシランの合成
工業的にトリクロロシランは、300°Cで塩化水素ガスをケイ素の粉末に吹き付けると得られます。この反応ではトリクロロシランとともに、水素が生じます。適切な設計の反応装置では、トリクロロシランの収率は80〜90%です。主な副生物として、H2SiCl2 (ジクロロシラン) 、SiCl4 (四塩化ケイ素)、Si2Cl6 (六塩化二ケイ素) が挙げられます。これら副生物から蒸留によって、トリクロロシランを取り出せます。
さらにこの逆反応で、高純度の単体ケイ素を生成可能です。
また副生物の四塩化ケイ素が水素やケイ素と反応しても、トリクロロシランが生じます。
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化学的特性
Clear liquid with acrid odor of hydrogen chloride. soluble in carbon disulfide, carbon tetrachloride, chloroform, benzene, etc.
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使用
Trichlorosilane is used in process of hydrosilylation. It is also used for reductive hydrazination which is a high yielding method for preparation of 1,1-disubstituted hydrazines.
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一般的な説明
A colorless fuming liquid with a pungent odor. Flash point 7°F. Vapor and liquid cause burns. More dense than water. Vapors are heavier than air.
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空気と水の反応
Highly flammable. Ignites spontaneously in air [NFPA, 1991]. Reacts violently with water, steam, moisture in air to generate heat and flammable (H2) and corrosive (HCl) gases. [Handling Chemicals Safely 1980. p. 924].
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反応プロフィール
Trichlorosilane reacts with alcohols, acetone, light metals with generation of heat and combustible (H2) and corrosive (HCl) gases [Handling Chemicals Safely 1980. p. 924].
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健康ハザード
Inhalation causes severe irritation of respiratory system. Liquid causes severe burns of eyes and skin. Ingestion causes severe burns of mouth and stomach.
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使用用途
トリクロロシランは、主に無機化学分野と有機化学分野で利用されています。無機材料化学の分野では半導体用高純度シリコンの原料に、有機材料化学の分野ではシランカップリング材料の原料に、極めて重要な役割を担っています。具体的には、ダイオードなどの個別素子やウエハーおよびシリコーン樹脂の製造に利用可能です。
その他の有機合成の分野でも、特殊有機シラン化合物の原料や還元剤としての用途が期待されています。
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安全性プロファイル
Moderately toxic by
ingestion and inhalation. A corrosive irritant
to skin, eyes, and mucous membranes. A
very dangerous fire hazard when exposed to
heat, flame, or by chemical reaction. May be
ignited by spark or impact. Spontaneously
flammable in air. Explosive reaction with
acetonitrile + diphenyl sulfoxide. Will react
with water or steam to produce heat and
toxic and corrosive fumes. Can react
vigorously with oxidizing materials. To fight
fire, use CO2, dry chemical. When heated to
decomposition it emits toxic fumes of Cl-.
See also CHLOROSILANES.