-
性質
α-ヒドロキシ酪酸は、融点が50〜54°Cの無色固体です。酸化ストレスに関わるアミノ酸代謝の中間体であり、 (トレオニン) Thrの異化代謝、またはを生合成する動物組織 (主に肝臓) で産生されます。
酸化ストレスや解毒代謝は、肝臓でのグルタチオン生合成を急激に増加して、グルタチオンのであるシステインCysが減少し、その補充代謝の副産物としてα-ヒドロキシ酪酸が生じます。
-
解説
ヒドロキシ酪酸とは、ヒドロキシ基を有する炭素数4のカルボン酸の誘導体の1つです。
別称、ヒドロキシブタン酸と呼ばれます。ヒドロキシル基の位置が2位 (α位) 、3位 (β位) 、4位 (γ位) というように、3種類の直鎖の構造異性体が存在します。具体的には、α-ヒドロキシ酪酸 (2-ヒドロキシ酪酸) 、β-ヒドロキシ酪酸 (3-ヒドロキシ酪酸) 、γ-ヒドロキシ酪酸 (4-ヒドロキシ酪酸) です。
いずれの構造異性体も、分子式はC4H8O3、分子量は104.105です。
-
構造
α-ヒドロキシ酪酸は、カルボニル基のすぐ隣のα炭素上にヒドロキシ基が位置するヒドロキシ酪酸です。不斉炭素原子を持ち、D体およびL体の2つの立体異性体があります。
-
化学的特性
The most important physical properties of g-hydroxybutyric acid are listed in Table 2. The dissociation constant at 25℃ is 1.93×10-5. At ambient temperature, the acid is a liquid and consists in part of lactone.
-
異性体
ヒドロキシ酪酸には、分岐を有する構造異性体も存在します。具体的には、2-ヒドロキシイソ酪酸と3-ヒドロキシイソ酪酸です。
1. 2-ヒドロキシ酪酸の特徴
2-ヒドロキシイソ酪酸は、2-ヒドロキシイソブチリルCoAムターゼによって、3-ヒドロキシブチリルCoAが 2-ヒドロキシイソブチリルCoAに変換され、加水分解により生成します。
工業的に重要なモノマーであるメタクリル酸エチルは、五塩化リンを用いた2-ヒドロキシイソ酪酸のエチルエステルの脱水反応によって、初めて得られました。
2. 3-ヒドロキシ酪酸の特徴
3-ヒドロキシイソ酪酸は、バリンの代謝中間体の1つです。不斉炭素原子を持つため、光学異性体であるD-3-ヒドロキシイソ酪酸とL-3-ヒドロキシイソ酪酸が存在します。
-
使用用途
α-ヒドロキシ酪酸は、結腸直腸癌および2型糖尿病の診断で、マーカーとして使用されています。血清中のα-ヒドロキシ酪酸の増加から、耐糖能の悪化を予測可能です。