実用
軽水炉の燃料被覆用に使われるジルコニウム合金.ジルコニウムは熱中性子吸収断面積が小さく,原子炉材料として適している.しかし,高温水中で腐食を受ける傾向があり,また窒素との反応性も強く,含有窒素量が40 ppm 以上になると耐食性が低下する.そこで開発されたのが,Zr-Sn合金のジルカロイである.窒素の害を除くには,スズを約1.5質量% 添加する.ジルカロイには4種類あり,当初ジルカロイ-1ができたが,その後スズを減じ,鉄,ニッケル,クロムを加えたジルカロイ-2ができ,高温水に対する耐食性がよくなった.その後,成形加工性をよくするためスズを減じて改良したジルカロイ-3ができた.また,水素吸収の問題を解決するため,ニッケルを除いて鉄を増加したジルカロイ-4ができた.現在,実用されているのはジルカロイ-2と4である.
森北出版「化学辞典(第2版)