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性質
常温で安定な白色の結晶性粉末で水によく溶けます。目立ったにおいはありません。過炭酸ナトリウムの化学式は2Na2CO3・3H2O2です。水に溶けると、炭酸ナトリウムと過酸化水素に解離します。過炭酸ナトリウムの3%水溶液のpHは、約10.0〜11.0です。過酸化水素はアルカリ性の溶液中で活性酸素と水に分解され、漂白作用を示します。
強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と激しく反応することがあります。過炭酸ナトリウムはステンレス以外の金属と反応し、銅や亜鉛、などの金属を腐食します。注意して取り扱い、熱や火源から離れた乾燥した冷暗所に保管してください。
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解説
過炭酸ナトリウムとは、とが混合された付加化合物です。
ペルオキソ炭酸ナトリウムとも呼ばれ、白色の結晶性粉末で水に可溶です。
消防法の危険物第1類の酸化性固体・無機過酸化物また、毒劇法の劇物に指定されています。過炭酸ナトリウム自体は、不燃性の物質ですが、水と接触すると、分解し、火災や爆発の危険が生じます。50℃を超えると、自己加速分解により、発熱しながら、酸素と水蒸気が放出されます。
強力な酸化力を有するため、酸素系漂白剤粉末タイプの主成分として、広く利用されています。
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構造
分子構造は、炭酸塩分子 (CO3) に結合した2つのナトリウム原子 (Na) で構成され、次に過酸化水素分子 (H2O2) に結合します。
この構造では、ナトリウム原子は正に帯電したイオン (Na+) であり、炭酸塩と過酸化水素分子は負に帯電しています。
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使用用途
過炭酸ナトリウムには、他の物質を強く酸化させるという性質を有しており「漂白」「除菌」「消臭」という特徴があります。漂白剤には、酸素系と塩素系があります。過炭酸ナトリウムは、を発生させないため、需要が大きく伸びています。
1. 漂白剤
家庭用、クリーニング店の衣料品の漂白剤として使用されています。塩素系の漂白剤と比較して、繊維の痛みや不快な臭いがありません。
2. 洗浄剤
住宅用、パイプ配管、医療器具などの洗浄剤として利用されています。
3. 除菌漂白洗浄剤
オムツ用、義歯用などに使われています。
4. 工業用処理剤
繊維漂白剤、公害・排水処理剤、半導体製造工程における洗浄剤として、工業分野で広く利用されています。
その他、緊急用酸素ガスなどの「ガス発生剤」「酸化剤」として、毛髪染色発色剤としても使われています。
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製造方法
過炭酸ナトリウムの製造方法
過炭酸ナトリウムの製造方法は、湿式法と乾式法に大別されます。湿式法は炭酸ナトリウムを水性ビヒクル中で過酸化水素と反応させた後、生成した過炭酸ナトリウムの結晶を乾燥させる方法です。乾式法は炭酸ナトリウム水溶液を過酸化水素溶液とスプレーで接触させた後、過炭酸ナトリウムを熱風で乾燥させる方法です。
製造するにあたり過炭酸ナトリウムを安定化させる方法としては、炭酸ナトリウム水溶液に塩類を添加し、過炭酸ナトリウムに含まれる不純物を反応前に析出させて除去またはキレート剤とし、金属と錯化合物を形成する方法が一般的です。