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外観
うすい赤色〜紫褐色, 粉末
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性質
水酸化コバルト (II) は、淡紅色をした粉末状態の物質です。安定していますが、酸化剤や空気によって水酸化コバルト (III) に酸化されることもあります。
空気中で酸素を吸収すると、褐色に変化します。標準酸化還元電位は、E° = 0.17Vです。また、水酸化コバルト (II) は強熱分解によって、コバルト酸化物の金属ヒューム (英: Metal fume) を発生します。さらに、水酸化コバルト (II) は刺激性もあるため危険です。密栓して保管する必要があります。
水酸化コバルト (II) は水に難溶です。ただし、アンモニア水やアンモニウム塩水溶液には溶けます。
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溶解性
水に不溶。希塩酸に溶け、水にほとんど溶けない。
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反応
水酸化コバルト (II) の溶解度積は、およそ1.3×10-15です。水酸化コバルト (II) は両性化合物であり、酸に溶解するとコバルト塩になります。
アルカリに溶かして加熱すると、テトラヒドロキソコバルト酸塩 (MI2[Co(OH)4]) が生成して、青色の溶液になります。
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解説
水酸化コバルト(Ⅱ)ばら色の粉末.密度3.60 g cm-3.両性化合物で,酸に溶けてコバルト(Ⅱ)塩になり,アルカリには加熱するとテトラヒドロキソコバルト(Ⅱ)酸塩MⅠ2[Co(OH)4]を生じ,青色溶液になる.酸化されやすい.空気中では徐々に酸素を吸収して褐色の水酸化コバルト(Ⅲ)になる.水に難溶,アンモニア水,アンモニウム塩水溶液に可溶.金属コバルトの製造,ニッケル水素電池の正極材料,金属せっけん,触媒などに用いられる.
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用途
コバルト化合物合成原料、ペイント等の乾燥剤、蓄電池電極。
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構造
水酸化コバルト (II) はコバルトの水酸化物であり、化学式はCo(OH)2です。分子量は92.94788、密度は3.597g/cm3で、結晶構造は六方晶系の水酸化カドミウム型構造を取っています。格子定数はa = 3.173Å、c = 4.640Åです。
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製造
水酸化コバルト(Ⅱ)コバルト(Ⅱ)塩水溶液に水酸化ナトリウムを加えると得られるが,最初は青色の微細沈殿で,放置すると粒子が大きくなりばら色にかわる.
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合成法
水酸化コバルト (II) は、グルコースを1%含んだコバルト塩水溶液に、を加えることによって生成されます。水酸化コバルト (II) は、最初は青色の微細沈殿の状態で生成されますが、放置することで粒子が大きくなり、淡紅色に変色します。青色形の水酸化コバルト (II) の方が不安定で、淡紅色は安定です。
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説明
The addition of alkali metal hydroxides to solutions of cobalt(II) salts results in the precipitation of cobalt(II) hydroxide in either a blue or pink form depending upon the conditions. The pink form is the more stable of the two and is obtained when a suspension of the blue form is allowed to stand or is warmed. Cobalt(II) hydroxide is amphoteric, dissolving in alkalis to form blue solutions of the [Co(OH)4]2- ions. In the presence of alkali, suspensions of Co(OH) are oxidized by air to the brown CoO(OH), this oxidation being brought about rapidly by oxidants such as hypochlorite, bromine water or hydrogen peroxide. The pink Co(OH)2 (density 3.597) has the brucite (Mg(OH)2) structure in which the cobalt atoms are surrounded by six hydroxides. The blue form is more disordered, but its structure is not known for certain.
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化学的特性
Rose-red powder.Soluble in
acids and ammonium salt solutions; insoluble in
water and alkalies.
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使用
Cobalt(II) hydroxide is used as a drying agent for paints and varnishes. It acts as an aid to dry the lithographic inks and catalyst in the preparation of battery electrode impregnating solutions. It is also involved in the synthesis of other cobalt compounds.
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使用用途
水酸化コバルトは、金属コバルトの製造やの正極材料、金属せっけん、ペイント等の乾燥剤、触媒原料などに用いられています。金属せっけんは、水酸化コバルトと脂肪酸を有機溶剤中で反応させることによって製造されています。
また、水酸化コバルトは、一般的なニッケル水素電池の導電剤としても用いることが可能です。水酸化コバルトは電池の中でアルカリ電解液に溶け、正極材料であるの表面を被覆します。そして、最初の充電によって酸化され、導電性の高いオキシ水酸化コバルトに変化し、電極の導電性を高めるといった役割を果たしています。