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外観
白色~黄赤色~緑色粉末~結晶
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種類
塩化セリウムは、研究開発用試薬製品や、産業用の希土類化合物などとして販売されています。
1. 研究開発用試薬製品
研究開発用試薬製品として販売されている製品の殆どは塩化セリウム七水和物です。ただし、ごく僅かながら無水物を取り扱っているメーカーも存在します。七水和物は、室温で保管可能な安定な試薬製品として扱われています。
2. 産業用希土類化合物
産業用製品に関しては、基本的に安定な七水和物が販売されています。こちらについても、想定用途はセリウム化合物原料・触媒です。純粋な物質の他、水溶液の状態でも販売されています。容量等については、メーカーごとに異なるため個別の問い合わせが必要です。
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性質
塩化セリウムの無水物は、分子量246.48、融点817℃、沸点1,727℃であり、常温での外観は、白色から淡黄色の結晶、または粉末です。密度は3.97g/mL、水への溶解度は100g/100mLです。水のほか、アルコールに溶解します。
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解説
塩化セリウム
塩化セリウム(Ⅲ):CeCl3(246.48).セリウム(Ⅲ)の酸化物,水酸化物,炭酸塩を塩化アンモニウムと混合して加熱すると無水物が得られる.無水物は無色の吸湿性の結晶.融点847 ℃,沸点1730 ℃.無水物のほか,一水和物,三水和物,六水和物,七水和物がある.いずれも無色の吸湿性結晶である.水,エタノールに易溶,塩酸に可溶.セリウム金属,セリウム化合物の製造,オレフィンの重合触媒などに用いられる.
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合成
塩化セリウムは、金属セリウムと塩化水素から合成することができます。また、3価セリウムの酸化物、水酸化物、または炭酸塩をと混合して加熱して得る方法も知られています。水和物を加熱すると無水物を得ることができますが、水和物のみを急速に加熱すると少量の加水分解を起こす可能性があります。
純粋な無水物を得るためには、水和物を高真空下で4等量から6等量の塩化アンモニウムと共に400 °Cまでゆっくりと加熱する、もしくは過剰の塩化チオニルと共に3時間程度加熱する方法が有効です。また、もっと簡単には七水和物を真空中で何時間もかけて140℃まで徐々に加熱する方法で無水物を得ることができますが、若干の加水分解物を含む場合があります。ただし、この程度の純度でも有機リチウムやグリニャール試薬と共に使用することは可能です。
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化学的特性
Cerium(III) chloride is a white powder and is used for incandescent gas mantles, spectrography and polymerization of olefins.
Cerium(III) chloride is mainly used as catalyst for petroleum,automobile exhaust catalyst , also used as a raw material for the production of cerium metal and other cerium compounds.
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物理的性質
White, very fine powder; hexagonal crystal system; heptahydrate is yellow orthogonal crystal and hygroscopic; density of anhydrous salt 3.97 g/cm3; melts at 817°C; vaporizes at 1,727°C; heptahydrate begins to lose water above 90°C and becomes anhydrous at about 230°C; soluble in water and alcohol; hexahydrate has greater solubility in these solvents.
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使用
Cerium(III) chloride is used in incandescent gas mantles, spectrography and polymerization of olefins. It acts as a Lewis acid and used in Friedel-Crafts alkylation and acylation reactions in organic synthesis. It is used as a precursor for the preparation of other cerium salts, such as cerium(III) trifluoromethanesulfonate.
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調製方法
Cerium(III) chloride is prepared by the reaction of hydrochloric acid with a cerium salt, such as cerium hydroxide or carbonate, followed by crystallization;
Ce(OH)3 + 3HCl → CeCl3 + 3H2O
Ce2(CO3)3 + 6HCl → 2CeCl3 + 3CO2 + 3H2O.
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使用用途
塩化セリウムの使用用途としては、他のセリウム化合物の合成原料や有機合成におけるルイス酸としての利用があげられます。特にフリーデルクラフツアシル化反応にルイス酸として用いられるトリフルオロメタンスルホン酸セリウム (Ce(OTf)3)は、塩化セリウムを出発原料とする有用な化合物の1つです。
また、オレフィンの重合触媒、α,β-不飽和カルボニル化合物のルーシェ還元、ケトンのアルキル化反応、グリニャール反応での添加剤などにも塩化セリウムが用いられています。
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化学反応
図3. 塩化セリウムを用いた合成反応
塩化セリウムは、他のセリウム化合物の原料として用いられるだけではなく、それ自体を有機合成におけるルイス酸として用いることが可能です。例えば、α,β-不飽和カルボニル化合物のルーシェ還元では、水素化ホウ素ナトリウムNaBH4と共に七水和物が用いられます。その他、ケトンのアルキル化反応においてエノラートの生成を防ぐ作用があります。
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安全性プロファイル
Poison by intravenous,
intraperitoneal, and subcutaneous routes.
Moderately toxic by ingestion. See also
CERIUM COMPOUNDS. When heated to
decomposition it emits toxic fumes of Cl-
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参考文献
W.H. Zachariasen, Acta Crystallogr., 1, 265 (1948), DOI: 10.1107/S0365110X48000697.